第九話 童子
屋敷敷地内 紅葉/に組の皆・京志郎警部
屋敷の中にいると不利だと悟ったのか、青鬼が出て来た。
青鬼は、立派な白い髭を生やしている。
角は二本だが、大きく張り出している。
体のサイズは、先の赤鬼や黒鬼と比べると小さい。
だが一目見て、こいつが童子か! と思った、貫禄がまるで違う。
名をやると強くなるのだろうと思い、与えぬまま一足で至近距離に飛び込み拳を叩き込んだ。
薫はさっきの場所で、
薫の大技が来そうだったので、拳を叩き込んでから蹴りを繋ぎで入れた。
青鬼の体術は少しやるようだが、蹴りを受けきれてない感があった。
なので蹴りをもう一撃、左から右の低位置にかけて蹴り抜かしてやった。
まともに左胴に入って、右に青鬼が移動し盛大にコケタ。
その直後、薫の大技『不動明王火界呪』が炸裂する。
盛大に燃える青鬼は炎を消そうと池に入るが、薫が印を組んで維持しているので消えない。
青鬼が印を組んでいる薫に気付いて、薫に接敵しようと池から上がる。
だがアタシが回り込んで青鬼の
タフではあるが、詰めが甘かったといえる。
青鬼は池の真ん中ほどに、吹き飛ばされた。
そこに後衛の術が、炸裂する『烈火』や『神鳴』だ。
『神鳴』の着弾で、池の底が爆発し真上に吹き飛ばされる。
だがまだ燃えているため目立ち、撃ちかけられている。
◇
屋敷敷地内 みこと/に組の皆・京志郎警部
わらわの『烈火』で燃えて、なおかつ『不動明王火界呪』で燃えている状態が長く続いている。
今が畳みかける時じゃ、とおもって『浮遊』を青い鬼にかけた。
青い鬼が空中に浮かび、そこで宙に溺れるようにもがいた。
じゃが、わらわが集中している以上、そこから落ちることはない。
美空が『怒雷』を唱えた、雷が空中に浮いた青い鬼を捉え絡めた。
いわゆる電撃に相当する術じゃが、清められた雷の束じゃ。
青い鬼が更にもだえ苦しむが、この程度ではなかったじゃろう。
◇
屋敷敷地内 吹雪/に組の皆・京志郎警部
京志郎警部は弾が尽きたようだった、致し方ない。
継続戦闘を考えていた、我々とは違う。
とはいえ正直こちらもそういうほど、残弾は多くはない。
狙って撃つコレに限るが、空中で溺れて漂っているため正直狙い辛い。
だが角を二本とも、撃ち折ることはできた。
後は何かを左手に握り込んでいるようなので、それの破壊かと思われた。
◇
屋敷敷地内 美空/に組の皆・京志郎警部
私は『怒雷』で神雷を絡めつつ、『神符斬魔』で青い鬼の、部位を斬り飛ばしていった。
流石に三か所も斬り飛ばすと、ぐったりした様子に変わった。
斬り飛ばしたのは右腕、両足である。
容赦が無い様に見えるが、青鬼がやって来たことを考えればこれでも生ぬるいくらいだ。
左手側には『神符斬魔』が通らない、何か隠し持っているのだろう。
『怒雷』の収束範囲を調整し、左手に一旦全部収束させた。
“ピギッ!”と何かが、割れる音がする。
怒雷の雷が、全身にかかるようになった。
結界は壊れたらしい、これだけの攻撃を受けて尚持つのは凄い耐久力だがもう立てまい。
◇
屋敷敷地内 薫/に組の皆・京志郎警部
私は結構長く、術を維持している。
これほど長く、術を維持させるのは久しぶりだ。
だが私たちに喧嘩を打ったことを、地獄の閻魔様の前で後悔させてやる。
そう思って、気を維持する。
何かが割れる音がして、火界呪の炎が青鬼の全身を焼き尽くしていく。
今度こそ終り、といえるところまで焼き尽くした。
最早、炭化した何かであった。
そこまで綺麗に焼き尽くすと、青鬼は黒い煙となって散った。
同時に地上に転がっていた、黒鬼と赤鬼の遺体も黒い煙と化して消えた。
◇
屋敷敷地内 美空/に組の皆・京志郎警部
「終わったな、撤収しよう」と吹雪さんがいった。
私は『黄泉透し』を実施して、屋敷をじっくり見た。
もう何も、残ってはいないようだ。
『天足』を使って、皆を屋敷の外に連れ出した。
そして周囲に人の気配が無いのを確認し、『隔離世』を閉じた。
闇夜が、戻ってくる。
「よし、撤収だ」と吹雪さんがいって、馬車に皆で乗り送ってもらったのである。
今日も、【に組】に、損害はない。
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