第六話 問題
溜まり場 美空/に組の皆
私たちは二十時に握り飯を食べながら、組長と組員で対応の話をしていた。
すでにその時、ことが進んでいようとは思わなかったのである。
動くとしたら明日だろうという話で、動いていたのであった。
◇
溜まり場
初めて
しかも朝からである、ただ八時くらいになってからであった。
偶々休日で女学校が休みであったため、私と紅葉が対応すると、「吹雪さんは居ませんか?」と問われるので。
「吹雪さんなら今日も、探偵社のほうに居ます」ということを伝えると、警部さん自ら探偵社に行ったのであった。
◇
御霊神宮/社務所 美空/みこと
私は仕事場に着いて、着替えてから出て来ると、そこに姫からの使いがおり、文を直ぐにもらって内容を確認しているとみことちゃんも着替えて出て来た。
「みことちゃんも長に伝えて来て、私は急いで戻るから」とみことちゃんにいって、私は急ぎ溜まり場に向かった。
◇
風祭探偵社 吹雪/京志郎警部
私は業務を開始して、一時間が過ぎたくらいであった。
客が来たのだ、珍しく波賀京志郎警部だった。
「元気でやっているか?」と聞く、と「今日は、私事ではなくて仕事なんですが、昨日二十時半頃何をしておられましたか?」と事情聴取のようなことを始められたのである。
「なんだ、仕事か? で昨日のその時間は、に組の皆と握り飯を食いながら。今後の対応を、話し合っていたが? 何か、あったのか?」と進路をふさぎながら、逆に聴取を開始した。
「その、皆さんで。ですか?」と聞かれる。
「そうだが、何かおかしかったか? 暇があれば、牛鍋屋にも出るが。昨日は握り飯を用意して、待ってくれていたので握り飯になったのだが?」と答えた。
「まさか、何かあったのか? 例えば、陣防町八ノ五ノ一!」という、と「なぜその町名を」と聞いてきた、ので「そりゃ、一週間前に調査した場所だよ。記録もあるけど、見るか?」と聞いてみた。
「まだ発表できないので、公表しないでいただきたいのですが。その屋敷に、押込み強盗が入りまして。それで刀を持っている人を、当っているのです」と答えたのだ。
「包丁では無くて、刀なのか?」と聞き返す羽目になった。
「ええ、刀です。一人が背後から斬られて重体、他は不明です。屋敷の中から、酷い血の臭いがしましたから。何人か、殺られているでしょう。今実調中ですので、詳しいことは分かりません。刀を持っている方を、ひたすら探しているのです」といったのだ。
「斬られたのは誰だ、それくらいは分かるだろう」と聞き返す。
「女中のものですが、あ……。俺が話したって、言わないでくださいませんか?」といった。
「波賀警部から聞いた、とは言わないでおこう」と返答した。
「それと草履と思しき足跡が、複数名分確認できて……」といいながら、私の足元を見て「疑ってしまい、申し訳ありませんでした!」とこちらに向かって腰を折り、謝ったのである。
私の足回りは、ヒールの少し高い革の編上げブーツであるのだ。
特徴的な、足跡が残るのだ。
「分かった、心得ておこう」といって、記帳に追加を書き出した。
「そう言えば、どのくらいの長さなのだ? 予想くらいは、できるだろう?」と問うた。
「実調中ですが、見たものがおりまして。およそですが、三尺前後ではないかと思われています」と答えた段で、私はいった「その長さは、つい最近の刀ではないのか?」と逆に問うた。
「なので刀を使っている……、こちらは関係なさそうですね。調べを、進めます」と波賀警部がいう、ので「分かった。その屋敷は現在、我々も調べている。実調の内容を聞くかもしれんが、その時は君から話してくれ」といって、道を開けたのであった。
波賀警部が帰った後で、事務所の電話が鳴った。
お婆様から、急ぎ溜まり場に来るように、いわれたのである。
姫からの、呼び出しであると分かった。
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