第四話 会合

 溜まり場 美空/に組の皆


 とにかく連携が必要な作戦になる、ということを他の三人に伝えねばならない。


 私は注意して声をかけた「次の作戦は、この都の一組目の【い組】を除く。【全ての組】で、行われるそうです。連携が必要になる、作戦です」といった。


「連携ってよう……」と紅葉さんがいう。


 いわんとしていることは分かるが、そこは押し切って次の句を続けた。


「いま吹雪さんが、緊急の会合に向かっています。それの答え次第ですが、私たちも注意して動く必要が出て来るでしょう」と私は閉じた。


「ということは、【ろ】、【は】、【に】、【ほ】、【へ】、【と】、【ち】、【り】、【ぬ】、【る】、【を】、【わ】までの【全ての組】ですか?」と質問がかおるさんから出て来た。


「それで、合っています」と私は答えを返した、そしていう「私たち【に組】も動かなくてはなりません」といった。


 実質【い組】を除くなら、上から数えて【ろ組】のすぐしもに配置されている。


 重要な位置を任されている、組なのだ。


 上位から数えて、二番目になる組なのである。


 流石に一位は【い組】であるからして、そこは譲るが他の十人揃ってなんとかという組に、あーだ、こーだ、いわれる筋合いはないのである。


 因みに、安倍家の現当主の息子がいるのが【ろ組】であり上位に入る。


 だが私たちの組ほど精鋭がいないため、組としては上から四番目にいるのである。


 上から三番目が、都外の北部を守護する【ぬ組】である。


 【ぬ組】は大内裏の背後である、北部を守護するため、実戦経験が豊富なものが揃うと聞く。


 そこまでの組は私たち【に組】の正当性をしっかりと評価し理解できるのだが、五番手以降の組が私たちをあなどるのである。


 その配置順位を侮るということ自体が、近衛府に弓引く行為だということを知らないのであろう。


 蔑むでもなくむしろ、哀れだと思えた。


 どこかで実力を見せればいいのだろうが、そういうことは考えず放置すればいい。


 まで、それが一番いいと私は思っている。


 他人がいったところで、気が付くことは無いのだから。


 己自身が知らねばならぬのは、そういうことなのだ。


 一番私たち【に組】を侮っているのは確か、上位から七番目の【ほ組】の高階たかしな家の跡取り息子で十人組の組長をしている高階賢吾であるといえた。


 多分また、会合で吹雪さんに突っかかっているのだろうと思えた。


 そういう意味では、吹雪さんが不憫ふびんに思えた。


 確かその【ほ組】は、二級の高階賢吾が組長を務めているはずである。


 特に女を軽視し、今の世を舐めているとしか思えない。


 そういう考えの、者だったはずである。



 溜まり場 みこと/に組の皆(吹雪を除く)


 わらわは考えた。


 またあの者と顔を合わせねばならんのか、と。


 あの者は自身が弱いのも分からず、吠えたいだけ吠える。


 犬よりもしつけがなっていない者の代表格じゃ。


 そう考えると頭が、重うなってきた。



 連絡会合場 吹雪/他の組長


 また噛み付いてからに、と忌々しく思うが表情には出さない。


 ガキの意見には、付き合っていられないからである。


 ここには総勢十二名の、組のトップが集まっている。


 そこでいったのだ「十人組の我々がその場所に居るべきです、五人組などに任せては置けません」と、それに安倍家の当主の息子【ろ組】の組長安倍上総かずさが聞いた。


「今の発言は、七人組の我々に対しての意見かね?」と間に、割って入ったのである。


 それに対し「貴方がた、ではありません! そこの! 風祭にいったのです!」ときたのだ。


「私たちよりも、位階が上に当たられる。風祭の君にそのような口利き、許されると思うな! 控えろ! 小童こわっぱが!」と上総殿が、【ほ組】の高階を一喝したのであった。


 その一撃で一応黙ったので【ろ組】の組長、上総に一礼すると逆に正式に一礼し返されてしまった。


 会合は、混沌としていたが。


 実質の話を【に組】の私がまとめて報告し、その内容を【ろ組】と【ぬ組】が精査するような構図であった。


 そこにさっきの発言があったので、場が一瞬で荒れたのであった。


 だが【ろ組】の上総殿が、割って一撃入れたので場は静かになったのであった。


 この会合場で二級上は二人、私と【ぬ組】の組長、いわお源治げんじ殿だ。


 だから今の割合であっているのだが、それが分からぬ輩もいるということであった。

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