第二話 破壊

 ある邸宅前 吹雪/に組の皆


 今度はその諸外国の政府が圧力をかけたのだった、頭が悪いとしか評価のしようがない。


 そして国は第一級の妖魔あやかし案件として検非違使けびいしにようやく依頼したのであった。


 そして我々にお鉢が回って来たのであった、依頼に際し、公館を破壊しないと解決できない旨を最初から公約に盛り込んだもちろん私の入知恵だ。


 そして実際に起きたことを、私がかい摘んで話したのであった。


 ガーゴイルと思しきものの掃討となった、悪魔ではなく石像なので魔法生物の駆除作戦が開始されたのであった。


 やることはいたって簡単、後衛や私が石像を片っ端から破壊するのでそれを前衛が守るだけという簡単な但しやることは力が必要で複雑な作業であるのだった。


 美空さんが『隔離世』を展開した、軽く舞うのだ。


 それで分かる程度だがそれがあると音が周囲に響かない、相手が逃げないなどの効力があるのだ。


 だからこの仕事には最適だと思われた、ついでに私たちが入っている空間ごと別のところにあるらしくコレに入っている間は我々の姿を外から見ることは不可能なのだ。


 なので、最適ともいえるのだ。


 まさに今回向け、なのだ。


 隔離世に隔離された石像が一斉に動き出す、石像という石像全てが動いたのだ。


 コレには流石に、舌を巻くしかなかった。


 だが命が下った以上、我々で受ける案件なのだ。


 他に譲れない、そう思った。


 とりあえず、飛びものから落としていくことにする。


 狙うは羽だ、狙い撃ちで壊していく。


 だが十を数えたところで私の弾装填が入って止まってしまう、前衛に有象無象の数の分からない石像が群がろうとした。


 その瞬間、轟音とともに集結中だった石像全てが吹き飛んだ。


 美空さんの術だ、かなり広い範囲を対象にしたらしい。


 地面に大穴が空いていて、その爆心地に結界を張った美空さんが見えた。


 自らに群がらせて、それを吹き飛ばし粉々に砕いたのであろうと思えた。


 術の使い方に創意工夫がみられ、ただの神子では無いといわんばかりの満面の笑みであった。


 そうしている間に、手元の銃の装填が終わった。


 スライドストップしているのを、元に戻した。


 まだ飛びものが残っている、前衛に飛びものは相性が悪い。


 私が落とすしかない!


 そう思い構え、狙って弾を放ち続けた。



 ある邸宅前 美空/に組の皆


 三度吹雪さんが弾を込めだした、私は相変わらず前衛一人で食い止めている。


 接近戦の得意な前衛二人には、吹雪さんとみことちゃんに張り付いてもらっている。


 結界はまだまだ頑丈さを誇り、穴が開く様に見えない。


 ただ相手は知能が無いのか、ひたすら同じ攻撃を取り続けて来る。


 術の消耗はあまりないが、これ以上大穴を開けても後が難しいだろう。


 が今回は遠慮なしに、大穴を開けていいといわれているのだ! 遠慮なくやらせてもらう。


 私の術系統は基本的に、孤立してからが本番なのだ。



 ある邸宅前 みこと/に組の皆


 相変わらず、前方から轟音が響いてくる。


 よくあれだけ唱えて持つものじゃと思う、それだけ鍛力が違うと思われた。


 わらわでは、目標を絞って焼くのが精いっぱいなのじゃ。


 今回の相手はわらわとは相性が悪かった、最悪といってもいいのじゃ。


 だができませんとはいえないのじゃ、一度命が下ったからにはそれはやらねばならぬものなのじゃ。


 これだけかかっても、戦法が変わらない。


 そこから察するに相手には意識が無いモノか、傀儡などのようなものではないかと思うのじゃ。



 ある邸宅前 薫/に組の皆


 美空さんの領域からはみ出た者たちが、こちらと接敵した。


 一様に石像であり形容こそ様々であるが、意志を感じられず傀儡のようなものだと思われた。


 私から少し離れた後方には、みことちゃんがいる。


 そちらへ回すわけにはいかない、ので接敵したら全てのものから敵意を向けさせるように真言マントラを唱えた。


 これで、私より後ろに抜けることはない。


 ただ私目掛けて殺到するので、音で砕くことにした。


 相手が聞いていた通りの石像なら、効果はあるはずだ。


 思った通り効果はあるが、数が尋常ではない。


 私の術はそれなりに強力だが、範囲が狭い。


 こればかりは術の特性だ、致し方なかった。



 ある邸宅前 紅葉/に組の皆


 かおるのほうから大きな音が聞こえ始めた、多分術なのであろう。


 詳しいことは分からねえ、吹雪さんは銃を撃ちながらでも回避できると聞く。


 だが美空から前衛を譲ってもらったのだ、ここを通せばアタシの意地が曲がっちまう。


 一撃確殺で砕きながら、全ての迫りくる何かを砕いて行った。

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