第三話 治癒
町長屋 薫/美空・吹雪・みこと・大家(琴音)
緋鎧の鎧武者が大業物を担いで、胸に下げた銅鏡に触れた。
緋鎧と大業物が、消える。
その瞬間、美空さんが現れた。
「みなさんの手当てを」と美空さんがいった。
「ありがとう、助かりました」と私はいって力が抜けたように、へたり込んでしまった。
みことちゃんも、後から現れた。
みことちゃんは癒しより攻撃派なので、癒すのには時間がかかるとのことであった。
そのため美空さんに、治療は全て任せているようだった。
現に私の腕の傷は、一分と経たぬ間に元の腕に戻った。
吹雪さんのほうにそのまま治療をしていく、それほどの時間を要せずに吹雪さんの怪我も治った全快である。
麒麟の神子の力なのだろうと思われた。
そのまま、お婆様の腰も治していく。
もう黒いシミは残ってなかった、だがまだ神符結界が残っている。
浄化しきるまで、まだもう少しこのままらしい。
「流石だな」と吹雪さんが、いった。
「まだまだですね、ここまで時間がかかってしまいましたから」と美空さんは、答えられた。
「何を狙っているのか、不明でしたし。私は『神命』でことを知って、駆けつけただけですから。少々、疲れました」と美空さんはいった。
「わらわも走り通しで、疲れたのじゃ」とみことちゃんも、いった。
「それくらい、元気でないとな」とお婆様は、いって「着替えたら、牛鍋を食べに行くが来るか?」とお婆様がいわれるので「いいんですか?」と私は答えていた。
「おぬしらが居なかったら、わしはもう亡くなっていたじゃろう。それくらいしても、罰は当たらんわ。カッカッカッ」と笑われたのでみんなで町娘ふうに着替え、食べに行ったのであった。
◇
牛鍋屋/くろべ江 薫/美空・みこと・吹雪・大家(琴音)
「これが牛鍋じゃ」とお婆様がいった。
思わずゴクリと誰かの、喉が鳴った。
肉の塊が、薄い鍋にたくさん並んでいて。
赤味噌がその上に乗り、そこに太ネギの白い身が刺さっているのだ。
鍋を囲んで、五人が食べだした。
紅葉を除く五人、私、美空さん、みことちゃん、吹雪さんとお婆様の五人だ。
肉が昔は薬だったそうで、明治生まれの私たちからでは考えられないことだが。
そういう時代が、あったとお婆様は教えてくださった。
分厚いわりに、肉は柔らかい硬くないのだ。
ここの店の出すものは、すごく評判がいいのだそうだ。
御婆様はたまに来るらしく、この店の常連であるらしい。
紅葉が居なくてよかったと思える点があった、居たら肉のお代わりがバンバン飛ぶような気がしたのだ……。
お高くつくような気がするのだ、あの子はたくさん食べるから……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます