第四話 討滅

 廃寺 美空/に組の皆・京志郎警部


 術士が私と吹雪さんから距離を取った、私が簡易結界を張る。


 直後、炎が私と吹雪さんを襲う。


 結界を張っていなければ焼かれていた。


 吹雪さんが待ってましたといわんばかりに、モーゼルC96を抜いた、流石に何か分かるのか、術者の顔が歪む。


 私も神符を五枚用意する、慌て始める術者。


 但し待ってやらない、神符を投げ術者の周囲に五芒星の位置に突き立てる『神符霊縛』と唱えてやる。


 術者が霊縛に抗うが簡単に抗えるものでは無く、動きが止まった。


 吹雪さんが銃を撃つ、二発轟と音が二発鳴り響きその二発が術士を捉えた。


 流石に銀の銃弾を真面に二発もらって、立っていられるほど強くはないらしい。


 今ので、術士は地に倒れ伏した。


 だが獣は送還されない、つまり術士が死んでも問題のないヤツらしい。


 薫さんが相手をしているものに吹雪さんが対応して、紅葉さんが相手をしているものに私も加わった。


 これで三対一の構成が二つできた、一応術士にも気を配ってあるが起きて来ない。


 私、紅葉さん、京志郎警部の三人で片側に、止めを刺すことに成功する。


 決まり手は紅葉さんのオーラの乗った拳であった、反対側も見るそちらも炎に焼かれモーゼルC96の三連射で倒れ伏した魔獣がいた、これも多分扱いは妖魔あやかしなのだろう。


 魔獣というか、その妖魔は倒すと、何も残さずに消えてしまった。


 私は『隔離世』を畳んだ、再び月光の元静かな寺の前が戻ってきた、完全に荒れ寺を通り越して朽ちた廃寺だった。


 術士は姿が残っていた、とりあえず術士を縛って、馬車のトランクに詰め込んだ。


 たまり場まで京志郎警部が送ってくれた、後は馬車を返しに行く前に警察署によって術士を突き出してから帰るとのことであった。



 溜まり場 美空/に組の皆


 溜まり場に戻って今日の反省点などを出し終えた後、私は切りだした。


 日は過ぎてしまっているが、ほおって置けないのだ、またされても困る。


 なので吹雪さんを介して、止めを刺しておくことにしたのだ。


「昨日、私は仕事中に不意打ちを受けました。あんな状態では、物は受け取れません。仕事の邪魔でした」と吹雪さんに通達した。


「それはすまなかったよく言い聞かせておく。それでしばらくは落ち着くとは思うが、落ち着かなかったら確実に振っていい、というか振ってくれ、たのむ」と逆に懇願された。


「今日の仕事が始まり次第、しっかりと締めあげておくよ」といわれた。


 とりあえずそれで、許すことにした。



 風祭探偵社 吹雪


 探偵社に来たばかりの、大雲を応接ルームに連れて行って、コンコンとお説教をすることにした。


「お前の行為は、相手の仕事の邪魔だったんだ。それくらい、気付け! お前は探し人が目の前で首を釣ろうとしているのを横目に見ながら花束を受け取れといっているのと同じだったんだぞ、猛省しろ!」と大雲にはっきりといった。


「それでも」というので「犯人逮捕で追っかけている最中にお前は花束を受け取って被害者を出すのか?」と聞いてやった、今度こそ沈黙する「そういうことだ、お前がやった行為は、卑劣を通り越して最悪だ!」と𠮟りつけてやる。


 大雲は、ただ黙って聞いていた。



 鳳高等女学院 薫


 眠いっ、といいながら休み時間机に突っ伏す私が居たのであった。



 御霊神宮/お札所 みこと/美空


 昨日までの喧騒が嘘のように静まり返っている。


「昨日までの喧騒がうそのようじゃな」とわらわは一人ごこちた。


「昨日までの盛況具合は、なかなかないだろうね」とわらわと同じ非常勤巫女の一人がいった。


「だからといって、サボっていい理由にはなりませんからね」と美空が突っ込んだ。


「み、美空様、大丈夫です。サボらせるようなことは、しませんから」と美空に対して笑顔で微笑んだ。


 新聞の威力というか、そういうものはすごいといわざるを得なかったのじゃ。


 でも全てのものが信じているというわけでもないのじゃろう、今日もお祓いとご祈祷の列は少ないとはいえあるのじゃから。

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