第三話 仕事
溜まり場 美空/に組の皆・京志郎警部
今の溜まり場は土蔵造りの家屋と、赤煉瓦製の袖壁を持つ重厚な町長屋だ。
物凄く、インパクトがあり目立つのだ。
大家の思考が尋常ではない、証拠である。
造ったのは風祭財閥であると聞く、しかも三列並ぶのだ。
大家の家もその敷地内に存在する、赤レンガの綺麗なつくりのお屋敷である。
そしてもう一宅は風祭探偵社であったりする、こちらも赤レンガ造りの綺麗な建物である。
溜まり場には、検非違使関係の人間しか住んでいない。
なので、共用スペースでも普通に溜まれるのだが。
そしてこの溜まり場、なんと電気が入っているのだ。
夜でも、暗くないのである。
さらに土蔵造りが貢献して、遮音性が物凄く良いのだ。
それは、お家賃が高そうである。
だが特殊な勤め先ということもあって、お家賃は相場と変わらない。
時間は昼の三時だ、まだ誰もいないであろうと思われた。
大家さんに探偵事務所にかけてもらう、電話があるのだ。
お仕事の電話をしてもらう。
大家の風祭琴音お婆様には、いつの間にか隠語で通じるようになっていた。
直ぐに、吹雪さんがやって来た。
「皆はまだか、学生連中は五時頃だろう。みこと嬢は、まだかな?」と吹雪さんはいった。
「まだだと思いますよ、いかな非常勤巫女とはいえ。私のように、お役目がしっかりとしているわけではありませんので」といいながら、姫からの文を渡した。
私たちの序列でいえば、私が一級で一番強くもあるのだが、風祭吹雪さんは二級上で序列的には二番目になるが、歳で判断される現在においては最年長の吹雪さんから手紙を見るべきなのだ。
私と吹雪さんのやり取りは、ほぼ暗黙の了解と言うヤツである。
「みことさんは、今頃こってりと絞られているのではないでしょうか」と私がいった。
いつも通りなら、そのはずである。
みことちゃんは休憩が多いのだ、私以外からの雷をもらうことも多かった。
そこを、考えたのであった。
「確かに、あやつは仕事を舐めている節があるしな」と吹雪さんがいった。
すると三時半になるころに、
すると「姫の御威光の前には学校側も、折れるしかなかった様だぜ。さすが姫様、鶴の一声ってヤツだ」といったのであった。
ということは「後はみことちゃんと、
「薫は仕方ないんじゃないかな、鳳高等女学院だしな。姫の御威光が、利きにくい場所なんだ。一般の学校って、ヤツだしな」といわれたのであった。
「そう言う、美空とみことは一緒じゃないのか?」と聞かれるが「立場が、違うのですよ。私の様に緊急時に直ぐ動ける立場と、そうでないものの差は大きいのです」と答えた。
「所属が一緒なのに、厄介なことだ。あ、またヤツはサボっていて叱られてるんか。それなら、しゃあねえな」と紅葉さんがいって豪快に笑った。
吹雪さんは深刻な表情で繰り返し、姫からの文をずっと読んでいる。
一息つく、と「諸君これは厄介な依頼だ、妖獣を始末するだけならいい。が、できれば官憲に引き継げとある。できない場合は始末してもいいそうだが、ずいぶん厄介だな。だれか官憲に一番近い……私か、
その間の時間で、みことちゃんと薫さんが来ることが出来たのであった。
それが、午後の四時半のこと。
それから三十分たって、一人の官憲を連れて吹雪さんが現れた。
それが、
私は吹雪さんに聞いた「そちらの方は? どちら様ですか?」と検非違使は秘密組織であるのだ、誰にも顔は知られてはいけない。
そういう意味での問で、そういう意味での私だったからだ。
「波賀京志郎警部殿だ、胆力が強くちょっとのことでは動じない。そういう、精神の持ち主だ。今回は姫の御威光で、この者を同行させる。我々のことは外部に対して、秘匿してもらうことが決まっている」と要点をいった。
署長以外にも知られることになるのか、と思い私はため息をついた。
神社の長も知っていることではあるが、それとこれは話が別だ。
この隊の構成は吹雪さんが二十七歳で最年長の二級上、歳の順でいけば紅葉さんが十七で二級、十六歳はおらず、私と薫さんが十五歳で同列で並ぶが私が一級で薫さんは二級、でトリが十四歳のみことちゃんで三級という順序になっている。
だが実際の指揮順でいけば吹雪さん、私、薫さん、紅葉さん、みことちゃんの順になるのだ。
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