ゼロから始める地獄生活

第5話 これからよろしく

「それで、これからどうなるんですか?」

私は番人たちに尋ねた。

「これからお前たちには地獄の住人…獄人たちと共同生活を行なってもらう」

気に入らない方の番人がそのようなことを口にした途端、死者たちは一斉にザワザワし始めた。


「共同生活!? 地獄に住んでる人と!?」

「地獄に行ったような人と一緒に住んで大丈夫なんですか!?」


これには私も焦らずにはいられなかった。

「一緒に住まなきゃいけないんですか!?」

「お? さすがのお前も怖気づいたか?」

気に入らない番人がニヤニヤしている。

「だって…一緒に住むなんて不安だもん…」

「ほーう…? 何が不安なんだ?」


「私…人と仲良くなるの苦手なんです…」

「どこがだよ!」


★ ★ ★


「え? あなた今ツッコみました?」

まずい。つい気が緩んでツッコんじまった…とりあえず強引にでも話進めるか…

「お喋りはこのくらいにして、そろそろお前たちと共に暮らす仲間を紹介しよう…」


「あの人いま話逸らしましたよね?」

あーもう! 横の悪人ヅラと審議するな!

「ラミー、獄人の準備を」


後はもうラミーに任せればいい。俺の同僚の中じゃ、ゲートを開けるのはこいつだけだ。

ラミーがゲートを開いて…よーし…出てきた出てきた!

「ツッコミの人ー! 質問がありまーす!」

あいつまた…!

「…なんだ?」

「まさかとは思うけど、異性と2人きりなんてことはありませんよね? 男とひとつ屋根の下で暮らすなんて、アタシ困っちゃ…」

「安心しろ。異性と同じ部屋にはしない」


★ ★ ★


言葉を遮るなんて、無礼な人だ。

それにしてもゲートから出てきた人たち、見た目は限りなく人間に近いな。

死者の数は正確には分からないが、大体50人くらいだろうか? 死者1人につき1人の獄人なのかと思いきや、死者によっては1人につき何人もつく場合もあるようで、獄人の方が少しだけ多い。

私の元には、20代半ばくらいの獄人が1人だけついた。

竜二さんはというと…3人? 3人の獄人と竜二さんが1人。計4人で暮らすのか…


「こんにちは」

「あ、こんにちは。よろしくお願いします」

「あなた、お名前は?」

「私は清水与羽です。あなたは?」


「よーし、全員揃ったな。これからお前たち死人には、それぞれの獄人の家に住んでもらう。シェアハウスだと思えば少しは気が楽になるだろうか…仲良くするんだぞ?」


そう言い残すと2人はゲートに入り、光と共に姿を消した。


「…えっと、与羽さん? 珍しい名前だね。私は天野栞里あまのしおりです。結構若そうだけど、あなたはおいくつなの?」

「18歳です」

「ああ、やっぱり若いね…まだ若いのに…なんて言ったらいいのか…」

栞里さんは手元をモジモジしている。

「栞里さんだってお若いじゃないですか」

「あなたより7歳年上よ」

「25歳か…あの、さっきからずっと気になってることがあるんですけど…」

「気になってること? なに?」

聞こうかどうか迷ったが、聞くことにした。


「栞里さんの他にも同じような人はいたんですけど、なんで目が緑なんですか?」


★ ★ ★


「なぁガルシア」

「なんだ?」

「…後半、ほとんどお前が喋ってなかったか?」

「…わりぃ。つい熱が入っちまった…」

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