第5話 D.E.S.T.R.O.Y.E.R

「さっ…30万人も…!」


「佐野くん…街に行こっか…」


「はい」

アカリさんの顔が心なしか少し寂しそうだった…


エレベーターで下へと降りる。

チーン!「着いたわ」


「うわぁ!! すごい!!」 そこはまるでニューヨークのタイムズスクエアのようだった。 高いビルに沢山の看板、そして沢山の人々。

「都会だぁ~」 「本当にあったんですか?!その、30万人もの命を奪った出来事が…」


「えぇ、ここでね これを見て 」

アカリは一枚の写真を取り出した。

その写真には、全壊した街の姿があった。


「跡形もない…よくここまで復興しましたね」


「そうね、みんなで協力してやり遂げたわ

私たちイージスと街の人々そして…」


?」


きゃあああ!!

叫び声が響く!!


「出たわね! 」 「ギャギャギャギャ!」


金切り声とともに

僕の目の前には見たこともない生物がいた。

全身は真っ黒、肺の辺りから液体を撒き散らし、

酸のように、周りのものを溶かしながら、

暴れまわっている!!


「佐野くん離れてて!」

アカリさんの目付きが変わった。

それと同時に、アカリさんの手にはいつの間にか、

刀のようなものが握られていた。


その生物は、アカリさんの殺気に気づいたのか、

こっちに向かってくる。


「うわわわ~!!」


「一太刀で行くわ!」


アカリさんは、ゆっくり刀を下ろす


一瞬だった… 何の音もしなかった…


黒い雨が二人を濡らす


「あっあれは一体…」


「この世には表と裏が存在する

そして2つの世界にはそれぞれ同じ人間が存在するの…」

「ここ オルタナティブのサノ=ユタカはね…

産み出したの…」


「産み出した…?」


「えぇ… 一つの兵器をね」


「えっ?! それってまさか…」


「そう、デストロイヤーを…」


「あの生物を私たちはバスタードと呼んでいるわ」

「デストロイヤーの残骸から産み出されたの

そして、人間達を襲い、デストロイヤーを復活させようとしているの」


「私たちは、見失ったの サノ=ユタカを

だから、頼りはもう一つの世界の佐野豊しかいなかった!」

「頼るって言ったって 僕何の力もないですよ…」


「このオルタナティブには、あるものが存在するの」


「あるもの?」


「そう、天秤よ その天秤があれば2つの世界の同じ人間をリンクすることが出来るの」


「使えるのは一度だけ… 出来れば使わずに

サノ=ユタカを見つけたいわ」


「天秤を使えば、色々と弊害がでるの」


「お願い!佐野くん 私たちに協力して!

デストロイヤーが復活したら、また、30年前と同じように沢山の人が死んじゃうの…!」


「お父さんの死が報われない…!!」


「えっ お父さん…?!」


「ごめんなさい… 言うつもりじゃなかったの

佐野くんのせいじゃないわ…」


僕は理解が追い付かなかった


いきなり、少女に連れ去られて、2つの世界があると言われ、そこにはもう一人の僕がいて、その世界の僕は、とんでもないものを産み出していて…


まるでフィクションの中だ。


だけど、アカリさんの涙は本物だ。


アカリさんの悲しみは本物だ。


だったら、やってやろうじゃないか!


「アカリさん 僕やりますよ!」


「その代わり、次 あんな奴が出ても、倒せるように僕を鍛えてください。」


「佐野くん…」


「わかったわ。 教えてあげる!

顔面をブチ抜けるほどにね!」





誰も知らない場所


「あは、今誰かアタシを呼んだわ!」


「ふぁぁ~お姉さま、また、空耳ですかぁ~」


「空耳じゃないわ! この感じはね!」


「行くんですかぁ~ でも、 私たちまだ、 が回復してませんよ~」


「行った所で、帰ってこれなくなっちゃいますよ~」


「ぐぬぬ~歯痒いわね せっかくのアタシの出番のちゃんすなのに!」



















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