なけなしの勇気だったんだ 彼女(階段小説)




 朝。

 受取。

 昼日中。

 料理作り。

 火点し前に。

 荷物を抱えて。

 口数少なく歩く。

 祖父母の家に着き。

 父の生誕を共に祝う。

 手作りケーキは祖父が。

 手毬寿司と唐揚げは祖母。

 私は花と年ごとに違う料理。

 今年はアボカドサラダだった。

 父と祖父母と和気藹々と過ごす。

 楽しいとても嘘じゃないよだけど。

 バレンタインが身体髪膚を圧迫して。

 息が苦しくて喉が焼きついて涙が滲む。

 本当にいいの変えたかったはずなのにと。

 安堵情けなさ苦しさが乱れに乱れまくって。

 体調が悪くなったからと言って家へと足早に。

 いいじゃないこれで今日が過ぎれば今年もまた。

 彼から薔薇を渡されなければ変化はなかったのだ。

 胸を突かれて紅薔薇の色を、想いを変えようなんて。

 怖い怖いわとても変化が恐ろしいそれでも変わりたい。

 後押ししてくれた父の前で大泣きしたのは帰ってからだ。

 十年後バレンタインデーに私と彼が結婚してからもずっと。

 不格好な私達は互いに一本と十二本の薔薇を贈り合っている。












(2022.2.13)




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