少女狂気2
リビングの真ん中に置かれたソファに男は座った。やせ細り顔色も悪く忙しなく目を泳がせている。
「どうぞ粗茶ですが」
男に対して落ち着いた表情で杏が紅茶を差し出す。上品な香りに男は緊張が少し解けたのかいただきますと小さな声をだし紅茶を一口飲む。
「……ここはどんな『願い』も叶えてくれる……のですか……?」
ボソボソと男の口から言葉が紡がれる。少女達はその言葉に小さく笑みを浮かべる。
「お兄さんは、どんなお願いをしにここに来たのー?ごめんけどー、ここは願いじゃなくって……どんな『復讐』も受ける『復讐屋』なんだよねぇ」
男の背後から自身の女性の象徴である大きなそれを押し付けるように抱きつき耳元で囁く茉夢。その言葉はまるでそれを求めるように甘く砂糖をとかしすぎた水のように___。
「あ、あの……」
「こら茉夢、お客様に失礼だからこっちいなさい」
「ふふ、ごめんなさーい。緊張してるから和らげてあげようと思ってね!」
困っている男を見て杏が指示をする。茉夢は反省する気はなく無邪気な子供のように杏のいる方のソファに座る。
「……さっきこいつが言ったようにここは『復讐』を代理する店です。……お客様はなにか復讐をお望み、ですね?」
見透かしたように男の心に響く『復讐』というワード。小さく蚊のように心細い声で男は口を開く。
「……そうです。妻を、犯し殺したあの男を、殺して欲しいんです……!!」
男の発言にその場にいるものがニヤリと不気味に笑う。
「どのような復讐を望みますか?私たちはその意志に従い遂行致しましょう。ただし次のことを厳守いただきます」
杏が男に契約書を渡す。多額の金が必要なこと、この事は第三者には話さないこと、そして
「……この『契約を破った際はそれ相応の対処をする』と言うのは……?」
「……契約を破れば、罪は全てあなたにきせられる。私たちはどんな残虐なこともあなたが望めば遂行する。どんなことも出来るからこそ……あなたのせいにできる、お金は返さないってこと」
男のソファの後ろから小さく顔を出して蜜雪がボソボソと喋る。男とは背中合わせにしたまま大きな本を読んでいる。
「この契約のもと、僕らのしたことも君のもとにDVDとして送る、きちんとしましたーって証明するためにね……どうするー?後には、戻れないよ?」
「……契約、します、あいつは……あの男達だけは許せないのです……!!お願いします!あいつらを殺してください!!」
嗚咽の混じった悲痛な声をあげ覚悟を決めた眼差しで……
「分かりました。それでは内容を聞きましょう」
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