少女狂気1

東京の小さな森の中にある古めかしい屋敷。そこではどんな願いを叶えてくれる魔女がいると噂があった。しかし魔女は願いを叶える代わりに魂を奪うとも噂され、あまり人が立ち寄らない。

そんな屋敷に今日も喧騒が起こる。


「て言う噂流れてるけどさー、みんなどう思うー?」

黒髪に紫のメッシュをいれたツインテールの少女が口を開く。

屋敷のリビングで出来たてのホットケーキにハチミツやメープルシロップ、チョコシロップをだばだばとかけ、それを切り分けながらリビングにいる4人に問いかける。聞いた本人は美味しそうにホットケーキを口に含み悦に浸る。

「別にいいと思う…」

その反対のソファに座っている淡い水色の髪の少女、蜜雪はボソリと喋る。その側には同じ髪色の小学生程度の見た目の少年がホットケーキのおかわりを持ってきていた。

「末夢はそんな噂気にしてんの?意外と神経質?」

「末夢に限ってそんな事ないと思うけど、あと朝から胸焼けしそうなくらい甘そうなの食べるのやめて」

「気にしてるわけではないけどさぁー。てか逢水ちゃん胸焼けってこれまだ抑えている方だよー!」

と言いながらツインテールの少女、末夢は更に生クリームやチョコをホットケーキに山盛りのせる。最早ホットケーキよりトッピングの方が多くなっているがそれをも気にせず口に頬張る。

「まぁ願いが叶うってのは合ってるからいいんじゃないの?何でもって訳じゃないけど」

「そっかぁー、てか彩目ちゃんホットケーキに醤油かけるのやめようよー不味そう」

彩目は自身の癖のある長い黒髪を耳にかけ醤油のかかったホットケーキを口に含む。傍から見れば奇行以外の何でもないが本人はそんな事も気にせず更に醤油をかけだす。

「何言ってんの醤油は何にでも合う魔法のほうみりょうは…ぞ!(調味料だぞ)」

「いや、彩目ちゃんも十分おかしいよホットケーキはバターとメープルシロップ少しで十分だよ」

逢水はため息をつきながらホットケーキを口に含む。シンプルでホットケーキ本来の甘さが口に広がり幸福感に浸る。

「そこ二人、朝から変なトッピングするなっていつも言ってるでしょ。あとおかわりは自分でつくりなよ」

ガダンと1番キッチンに近い椅子に見目麗しい人物が座る。一見するとかなりのイケメンに見えるが緩めたスーツのシャツからはわずかながら女性の象徴ともなるモノの谷間がのぞく。

そして彼女は更に自身の持ってきたホットケーキに赤い液体をかける。

「「………」」

「…何?」

「いや、何?じゃなくて杏ちゃんもおかしいよね?なんでホットケーキにケチャップかけてるの?バカなの?」

真っ赤に染まったホットケーキを杏は口に運んだ。その時、

ピンポン__

家のチャイムが鳴る。それと共に彼女らは目を光らせた。

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