第13話期待は時には儚く散っていく?
美花の部屋の真ん中で机をはさんで祐介と美花が座っている。
祐介から見て前を見れば美花がいてその後ろにはベッドが置いてある。
右を見ればクローゼットがありそのすぐ近くには姿鏡が置いてある。
左には勉強机と本棚が置いてあった。
机の上は整理されていて本棚には漫画や小説が少しあるだけでほとんどは教材用の本がずらっと並んでいる。
後ろには部屋の出入り口があるだけだった。
1つの部屋の中で2人っきり、祐介は美花を見ないで下を向いたまま黙り込んでいた。
「あの、本当に申し訳ございませんでした。」
祐介は少し後ろに下がり土下座をした。
美花はそれを見ながら持ってきていたお茶を一口飲み込む。
『ふぅー。』
その声を聴いて祐介はその場でビクッと体が少し浮いた。
恐る恐る祐介は頭を上げると先ほどまで美花が座っていた場所に美花の姿が見当たらなかった。
「えーっと、美花さん?」
左右を見渡すが美花の姿は見当たらなかった。
机に手を置いて祐介は立ち上がろうとした。
『わっ!!』
突然祐介の後ろから美花が脅かした。
しかし祐介は美花に対する申し訳ない気持ちで逆に驚けなかった。
こんなことがなければ祐介は驚いていた。
それでも美花に対する気持ちの方が勝ったのだ。
「・・・あー、違ったなー。今からでも間に合ったりは?」
『しない。』
「ですよね。」
美花は少しでも気が紛らわせればなと思ってしたことだったが余計に場の空気が下がった。
「その、重ね重ね申し訳ございません。」
祐介は先ほどよりも頭を地面に擦り付けるようにして誤った。
『いや、こっちも悪いから気にしないで。大丈夫だから。
それに、あれは事故だったし気にしてないって言ったら噓になるけど大丈夫だから。
それにしても何でここにいるの?』
その言葉を聞いて祐介は頭を上げて時計を探した。
しかしすぐに見当たるところには時計は見当たらなかった。
「美花、今何時だかわかる!?」
慌てた様子で美花に質問する。
美花はなんでそんなこと聞いたのかわからなかったが後ろのベッドの枕元に置いてあった目覚まし時計を確認した。
『えっと8時30分だけど、急にどうしたの?』
「やばい遅刻ギリギリだよ!早く学校に行かないと!!美花も早く支度しないと遅刻することになっちゃうよ!!」
祐介は立ち上がって持ってきていたカバンを背負いすぐに身支度を整えた。
そして、美花の部屋に置いてあったカバンを持って美花の前に差し出して早く支度するように急かした。
『ちょ、ちょっと落ち着いて。今日何の日かわかってる?』
美花は渡されたカバンの中から1枚のプリントを取り出し祐介に渡した。
『真ん中からちょっと上の部分をよく読んで。』
「なんで今これを渡すの?」
『いいから早く読んで。』
祐介は渡されたプリントに目を向ける。
したいされた個所を見てみるとそこには
≪x月yy日(金)設立記念日の為休日≫
と書かれていた。
慌てていた祐介はその内容を見て頭が真っ白になって何も考えられなかった。
「今日って何日の何曜日だっけ?」
『今日はyy日の金曜日よ。』
美花の言葉を聞いて祐介は魂が抜けたように力が抜けその場に崩れ落ちた。
「よかった~。」
祐介は悩みの種が消えて安堵の言葉が垂れた。
そんな祐介を見て美花は1つの提案をした。
『ねえ、この後時間空いてる?空いてるならせっかくの休日だしどこか遊びに行かない?今日バイトの人も足りてるからお店は大丈夫みたいだから。』
美花からの初めての誘いだった。
それを聞いて祐介の頭にピンクの考えがよぎった。
え、え、俺と美花が2人で遊びに?もしかしてこれっていわゆるデートていうやつですか?そうだよな、この場には2人しかいないし言葉的に急な提案みたいだし絶対2人のやつやんこれ!
『冴子ー!お待たせ、待った?』
[ううん。私も今来たところだから平気だよ。]
「ですよねー。」
祐介は美花と一緒に目的地に着くとそこには剣崎冴子が2人を待っていた。
美花は祐介には言わないで冴子にスマホのRINGというメールアプリで連絡を送っていた。
冴子も息抜きを兼ねて美花の誘いを受けてやってきた。
『さっ!みんな揃ったから早速いこっか!!』
2人の腕を引っ張って美花が先導した。
美花が指定した場所は3か月前にリニューアルオープンしたばかりのデパートだった。
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