第13話 dルート 最後の戦い
「私は決して地底には戻らない、あなたたちに敵対する!」
「そうか、残念だ、お前には期待していたのだがね」
私は初めてヨーコと出会った公園で地底の世界に引導を渡していた。じきに彼らが、地底人が地上にやってきて人間を殲滅していくだろう。私はそれを止めないといけない、、、!
「シロ?どうしたの、そんな険しい顔して、、、」
「ヨーコ!来てはダメ!今すぐここから離れて、、、」
私が言い終わる前に大きな地響きが起こる。
「な、何、これ、地震?」
地面に大きな亀裂が入る。ついにこの時が来てしまったか。
「グオオオオオオオォォ!」
大きな咆哮と共に巨大な実験動物兵器が地上に現れる。
「え、何これ。私、夢でも見てるのかな、、、」
「夢じゃないわ、今すぐ逃げて、、、!」
呆然と立ち尽くすヨーコ。彼女に巨大な爪が襲いかかる!まずい、私1人じゃかばいきれない、、、!
「私の出番ですね!」
そこに現れたのは、私と同じく地底を裏切った相良キョーコだった。
「この番犬は私が相手をします!あなたは彼らの動力源を絶ってください!あなたならその位置が分かるでしょう?」
「ええ、ありがとう、キョーコ。恩に着るわ」
私は地面の亀裂から地底に潜り込もうとした、その時、、、
「ねえ、シロ、あなた、本当は、、、」
「ええ、ヨーコ。私は地底で作り出された人造人間、強大な力を持った兵器よ」
「、、、」
ヨーコは黙ってしまった。仕方ないだろう。ずっと仲間だと思っていた人物の正体を知ってしまったのだから。ところが、、、
「シロ、あなたは兵器じゃない、人間!私の、大事な、友達だよ!」
「ヨーコ、、、」
「それに元の仲間を裏切ってまでして私たちを守ってくれてるんでしょ?それならやっぱりあなたは私の友達だよ!」
「、、、ありがとう、ヨーコ」
すると、ケーコやセージ、ソータにトーコ、リョータもやってきた。
「ええ、そうよ、あなたは私たちの友達、大事な仲間よ!」
「ケーコ、、、」
「お前には仲間がいる、たとえ元いた場所に居場所がなくなっても、私たちがいる!」
「セージ、、、」
「あの時、一緒に星を見られておじさんは嬉しかったぞ!」
「ソータ、、、」
「君がいなかったら僕はずっと趣味を隠して生きていくことになっていただろうね。君には本当に感謝してるんだ」
「トーコ、、、」
「俺はお前が大事なんだ。何度でも言ってやる、お前が好きだ、シロ!」
「リョータ、、、」
そうだ、私には地上で出来た仲間がいる。たとえ地底に対して無力だとしても、頼れる仲間がいるじゃないか!
「私、行くわ。ありがとうみんな!」
「俺は住民の避難を請け負うぞ!」とセージ。
「私も手伝うよ!」とヨーコ。それに続いてみんなも避難を手伝いにそれぞれ散っていく。
その場に残ったのは私と、キョーコ、そして実験動物兵器のみ。
「シロちゃん、じきに国軍が動き出します。彼らがやって来てあなたが戦っているのを見れば、あなたもただでは済まないでしょう。だから、それまでに地底を滅ぼしなさい。あなたは私よりも圧倒的に強い、だから、良いですね!?」
「ええ、分かったわ!」
私は急いで地面の亀裂に入り込んだ。
私は空中を飛び、魔法陣から放たれるレーザーを駆使して地底の世界を少しずつ削っていく。そして、ついに動力源にたどり着いた。
「被検体第13号、何故、何故だ!どうして我々を裏切った!?」
私を作り出した張本人が叫ぶ。その問いに私は答えた。
「それは、地上で大事な人を見つけたからよ、、、!」
「そうか、それなら私も足掻かせてもらおうか!」
彼は魔法陣から巨大な龍を召喚した。
「私はこの龍と一体化することで世界最強の存在になるのだ。お前にも負けない最強のな!」
「それなら、、、!」
私は魔法陣を極力大きくし、照準を龍に合わせた。
「はっっ!」
そして巨大なレーザーを打ち込む。爆風で辺りがよく見えないが、恐らく倒しただろう。さあ、早く動力源を、、、
「まだだ、、、!」
龍はどうやら動力源と一体化して生きながらえているようだ。
「私は死なない、地上を征服するまでは死ねんのだ!」
「はああぁぁ!」
私は彼に向かって一発の拳を振り下ろす!
「がっ!」
もう一発!
「ぐわっ!」
もう少しで、、、
「そこだ!」
「きゃ、、、」
私は一瞬の隙を突かれ、龍の手の中に収まってしまった。
「は、はははは!これでお前も終わりだ!ここで死ぬが良い!」
まだだ、私は諦めるわけには、、、
「シロ!」
声が聞こえる。
「シロ!頑張れ!」
また声が聞こえる。
「負けるな、シロ!」
そうだ、私は負けるわけにはいかない。みんなを守るために、、、!
「がああぁぁ!」
私は無我夢中で龍の手を振りほどき、体の自由を得た。
「何!?何故動ける!?どうして、そんな力が、、、」
「地上の人間を甘く見ないことね。彼らの応援があれば私はなんだって出来るのよ!」
私は魔法陣からありったけのレーザーを、動力源と一体化した龍に打ち込む。
「馬鹿な、こんなはずは、、、」
「さようなら、お父さん、、、」
「ぐわああぁぁ!」
断末魔と共に私の生みの親は消滅した。私は急いで地上に戻った。するとそこには、、、
「すごーい!見て見て!温泉だよ、温泉!」とヨーコ。
「ああ、そうだなヨーコ、これなら村の復興に役立ちそうだな!」とセージ。
「あ、シロ、お帰り!見てよこれ、温泉よ!」とケーコ。
「ええ、これが噂に聞く温泉ね、興味深いわ」と私も答える。
後日、村には温泉という観光名所が誕生するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます