第6話 Aルート ごめんなさい

私は気になったのでヨーコの部屋を訪れていた。

「失礼するわね、ヨーコ」

「あ、シロ、さっきはごめんね、あなたには関係ないのに、、、」

「気にしないで、それよりさっきのケーコの発言が気になるのだけれど」

「ああ、それか、、、そう言えばシロには話してなかったね。実はケーコは養子なの」

「ヨウシ、とは?」

「養子っていうのは行く当てがない子供を大人が引き取るものなの」

「そう、なの、、、じゃあケーコが言っていたことは嘘じゃなくて、、、」

「うん、ホントのこと、事実だよ。認めたくないけどね。ケーコとは小さい頃から一緒にいて本当の姉妹みたいに一緒に生活してきたの。だから喧嘩することもあればその度に仲直りしてもっと仲良くなってきた。だから、今回もきっと、、、」

「喧嘩するほど仲がいいってやつね。クラスメイトのトーコから聞いたわ。それなら、ヨーコ。一緒に謝りにいきましょう。謝るときは何て言えばよかったのかしら」

「ごめんなさいだよ、シロ。って言うかシロまで一緒に謝らなくていいよ」

「いいえ、せっかくの機会だから私にも一緒に謝らせて欲しいの」

私たちは再びリビングを訪れていた。

「ごめんね、ケーコ。さっきはすぐに片付けしなくて、、、」

「私もごめんなさい、ケーコ。2人の言い争いを阻止できなくて」

「いいのよ、ヨーコ、シロ。こっちこそあんなこと言ってごめんなさい。本当に後悔してるの。許してくれるかしら、、、?」

「うん、もちろん!どんなことがあったって私たちは姉妹だよ!絶対にね!」

「ええ、ありがとう、ヨーコ。そうね、私たちは姉妹よね!」

人間はこうして徐々に仲が良くなっていくものなのだろう。この時、私は何故か人間に感情移入してしまっていた。そして、思った。本当に人間を殲滅して、殺してしまっていいのだろうか。私の中の葛藤はなかなか消えることはなかった。

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