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アーノルド兄様とレジーナ姉様が学園へ行っている間、私はひたすらに魔法のコントロール練習をしていた。イメージが実際に形となるので、加減を間違えると暴走することもある。他人の自分も傷つけたくないから、コントロールはうまい方がいいよね。私はとりあえず、種からイメージして新しい植物を産み出したり、図鑑を見ながら同じものを育てたり、自由に温室を使っていた。毒を持つ植物もあるから、使用人たちが入らないように注意している。それに、私が新しく生み出した植物がもし盗まれたら困るし。
私が今作っているのは毒花だ。姉様のバッドエンドの中に、毒エンドがある。それに使用される毒がこの花の毒だ。姉様視点のゲームでは、周りの令嬢と仲良くできていないと、毒殺されるという悲しいエンドがある。アーノルド兄様に一目ぼれした令嬢が、レジーナ姉様に近づくが、姉様はその令嬢に興味がなく、無視をする。そのことに激怒した令嬢がお茶会でレジーナ姉様に毒を盛る。そしてアーノルド兄様が復讐し、兄様も死刑になってしまう。ヒロインが出てくる前に、終わってしまう物語だ。
毒の解毒薬は、この毒花からしか作れない。毒に詳しい者でも解毒薬を作るのは難しく、かなり上位の毒魔法を使える者がいないと無理だ。でも、幸いにも、ジークさんが姉様たちの護衛をしている。ゲームではそのお茶会の時、ジークさんはアーノルド兄様と共に、オズウェル様を訪ねていた。だから救うことが出来なかった。
今回は私がいる。解毒薬さえ用意できれば私が、姉様の傍にいれば助けられる。ただ、この毒の解毒薬をどうやってジークさんに作ってもらうか。突然頼んで作ってくれる相手ではない。なぜ必要なのか聞かれてしまう。それは困る。誰にも、私がこの先の未来を知っていることを知られたくない。
鬼人は世界樹を護る種族だ。世界樹の周りに村を作り、ずっと護っていく。なぜかは分からないが、ゲームでそういってた。なら世界樹作っちゃおう!そう思ってやったら本当に出来たんだよね。これはやりすぎた気がする。世界樹って世界に3本しかなくて、そのうちの1本は燃えてなくなってる。しかも、その燃えた世界樹を護っていたのがジークさんがいた村の鬼人たちだし。
やりすぎたよね、これはバレたらまずい気がする。私は手持ちの魔法具を探した。どんな大きなものでも閉じ込められる魔法瓶を見つけて、世界樹を閉じ込める。これをうまく使って交渉してみよう。
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