03

 そして迎えてしまった、私の6歳の誕生日。アーノルド兄様とレジーナ姉様は張り切って出かける準備をしていた。2人は変身魔法を使い、髪色を交換していた。赤髪紫目の美少年と黒髪金目の美少女の完成である。私は青髪に銀目の美少女である。この家系と言うか、この世界と言うか、見目の美しい者ばかりで目が疲れてしまいそう。


「ケイティ!貴女はどんな姿でも愛らしいですわ。さすが私の妹ですわ!」

 レジーナ姉様のシスコンは通常運転で、私を抱きしめていた。彼女のぬくもりを感じながら、もしかしたら自分が死ぬ運命を変えられないかもしれない、そう思うと涙が出そうだ。


「レジーナ、ケイティ。はぐれないように気を付けるんだよ。もし、迷子になっても無闇に歩き回らないように。」

 もちろんと頷いたけれど、人の多さと、私が勝手にふらふらとしていたせいで案の定迷子になりました。いやぁ、ヒロインの歌声が聞こえたら思わず走ってしまうよね。


 ヒロインは噴水の前で楽しそうに歌っていた。ふわふわとした茶髪のロングヘアに、水色の瞳、半獣人の特徴である獣の耳と尾も持つ彼女は、天使かと言うほどに可愛かった。彼女は猫の半獣人であり、音魔法を得意とする人物である。彼女は私と目が合うと優しく微笑んだ。


「どうしたの?迷子になっちゃった?」

「う、うん。兄様と姉様と一緒だったの。」

「そっかぁ。一緒に探しに行こうか?」

 私の頭を撫でながら言っているが、それは困る。この噴水は王子とヒロインの出会いのシーンで描かれていた。どうにかして引き留めなくては。


「迷子になったらその場にいてって言われたの。だから、ここで待ってる。」

「うん。それなら一緒に待ってようか。私はエレノア。エレノアって呼んでね。あなたのお名前は?」

「ケイティだよ。よろしく、エレノア。」

 それからヒロインことエレノアは、いろんなお話をしてくれて、歌も歌ってくれた。何をしても愛らしい。さすが愛されヒロインである。

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