02

 再び目が覚めると、先程と同じ豪華な部屋だった。つまり夢オチという展開ではないことが決まった…。死んだ記憶がないから、きっとこれは異世界転移と言うやつだろう。ゲームキャラに憑依してしまったというやつ。


 …ではまず、思い出せることを少しずつ整理しよう。


 この世界には様々な種族が暮らしていて、魔法も使えるファンタジー世界だった気がする。魔法は鍛えればどんな属性でも使えるようになるが、自分の身に危険が迫ったときに無意識に使える魔法を自分の属性魔法としている。全く何の魔法も使えないなんて人がいない設定だった。うらやましいと何度嘆いたことか。


 そして、ケイティが生まれた家はそこそこ有名な貴族の家で、両親共に人間である。


 アーノルドに関しては、黒髪紫目の美少年でケイティと4才差である。闇魔法を得意とし、王子の友人として名を馳せる予定である。そしてなんといっても攻略対象の1人…兄が誰かに攻略されるところ見たくないなぁ…。


 レジーナは赤髪金目の美少女。先祖返りでハーフエルフの見た目をしている。炎魔法を得意とし、悪役令嬢として、ヒロインと対立する予定である。ケイティとは3才差である。


 最後に私、ケイティ。長い黒髪で、紫と金の瞳を持つ少女。6歳の誕生日で兄たちとお出掛けしていたところ、御忍びで町に来ていた王子と間違えられ、誘拐され、そして命を落とす。得意魔法は、わかる前に命を落としたから未知なんだよね。


 まぁ、今わかっているキャラクターに関してはここまでで。私が死なない方法を考えないと。


 なぜ王子と間違えられたか…それは確か変身魔法で変えた姿が、王子の御忍びでの格好と似ていて誘拐されたはず。


 私もそこそこのお嬢様なので、変身魔法を使わずに町へ行くことは出来ないだろう。それならば、王子がしなさそうな御忍びの格好を考えるべきだ。女の子の装いであれば被ることはないだろう。王子が昔お忍びで女装をしたことがあるなんて裏話がなければ。


 …いや、ないだろう。王子が御忍びで町に行く話はヒロインとの出会いシーンが組み込まれている。その時のスチルでは男の子の服装だったし。昔にやったゲームだけど、何となくスチルは覚えていた。


 やはり当日は女の子の姿での、変身魔法をかけてもらおう。

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