第46話 お惚気大会~誰が1番?~ 1/2
ごきげんよう。
先日はお見苦しいところお見せしまったようで、本当に申し訳ございません。
まさか、あなたに見られてしまっているとは。
ヒスイ様も人が悪いですわ。
後から伺って、私、ビックリしてしまいましたのよ。
あのような内輪の恥ずべき話を、あなたにまで。
ですので、今日は楽しんでいただけるお話にしようと思いまして。
どうぞ先日のお話はお忘れになって、楽しんでくださいな。
※※※※※※※※※※
「お前からもこいつに、もう少しくらいオシャレするよう言ってくれ」
「なんで?ミャーは何もしなくたって可愛いんだから、いつものままだっていいじゃない。ねぇ?ミャー」
「・・・・お答えいたしかねます」
ユウの私室。
訪ねてきたヨーデルと共に寛ぐユウの傍らでは、ミーシャが部屋を整えている。
「そんなことよりヨーデル様。用がお済みならとっととお引き取りくださいますか。ユウ様もお出かけになったらいかがです?掃除の邪魔です」
「うーん、今日はキャロルちゃんとのデートがキャンセルになっちゃったから、出かける予定なくなっちゃったんだよね。あっ、そうだ!僕、掃除手伝うよ!」
「ご冗談を。掃除は私の仕事です。それに、申し上げにくいのですが、ユウ様がお手伝いくださると、私の仕事が余計に増えるだけですので、お出かけにならないのであれば黙ってそちらに座っていてくださいますか」
「・・・・ミーシャお前、言い方・・・・」
「なにか?」
「ん?ミャーがなんか変なこと言った?」
呆れ返ったヨーデルがユウとミーシャにため息を吐いた時。
「ユウ?入るよ」
「失礼いたします、ユウ王子」
ノックの音と共に、ヒスイとライトがやってきた。
「ユウ王子にはごきげん麗しく」
「だから、ユウにはそういうの要らないってば、ライト」
「そんなこと言われたって、ユウ様は
入口近くで緊張感を漂わせて畏まるライトに、大きく伸びをしながらヨーデルが声をかける。
「そうだ。こんなボンクラ王子にゃ、そんな御大層な挨拶なんぞもったいねぇ。こいつのご機嫌なんて、いつでも麗しいに決まってるからな」
「ええ。ヨーデル様のおっしゃる通りでございます。ユウ様のご機嫌は年中お花畑でございます」
「ちょっとっ!なにそれっ?!カテキョもミャーも酷くないっ?!」
「そうか?褒めてるんだが。なぁ?ミーシャ」
「はい、もちろんでございます」
澄ました顔で答えるヨーデルとミーシャに、少しだけ拗ねたようなユウ。
そんな三人の姿を、ヒスイはニヤニヤしながら、ライトは呆気にとられた顔で眺めている。
「まぁ、いいけど」
軽く肩を竦めると、ユウは気を取り直して、部屋の入口近くに立ったままのライトに声をかけた。
ヒスイは既に、ライトをその場に残したまま、ユウの座るソファに腰をおろしている。
「でも珍しいね、ライト隊長が僕に会いに来るなんて」
「あっ・・・・はいっ!キャロライン姫より、こちらをお預かりして参りました」
「ライトは通りがかったメイドに言付けて渡そうとしてたんだけど、丁度僕もユウの顔でも見に行こうかなって思ってたから、ついでに連れてきたんだ。あ、ミーシャ。あなたの淹れてくれる紅茶が飲みたいんだけど、お願いしてもいいかな?」
「はい。かしこまりました」
部屋を整える手を止め、無表情のままミーシャは頷き、紅茶の用意をするべく部屋の扉へと向かう。
「忙しいところ、ごめんね?でも、あなたの淹れてくれる紅茶は、他の誰が淹れるものよりも本当に美味しいから」
すぐ横を通るミーシャにヒスイがそう声をかけると。
ミーシャは一瞬驚いたように目を見開き、薄っすらと頬を染め、小走りに部屋を出ていった。
「おい、ヒスイ」
ヒスイの斜め向かいに座るヨーデルが、低い声を響かせる。
「あいつは今、この部屋の掃除の最中なんだよ。余計な仕事をさせるな」
「あれ?もしかして、妬いてるの?」
「はぁっ?何をどう取ったらそうなる」
「何をどう取っても、そうなるけど?」
不機嫌そうに奥二重の目を
「もしかして、あんなに素直なミーシャの反応、初めて見たんじゃない?」
「なっ・・・・」
「ほんと、いい子だよね、ミーシャって」
「・・・・可愛げねーし、口悪いし、地味だけどな」
「それはあなたの向き合い方次第じゃないかな?」
「なんだとっ?」
「毒舌大王もいいけど、たまにはストレートに伝えることも、大事だと思うけどね?特に、相手が大切な人であるならば」
ヨーデルとヒスイがバチバチと静かな火花を散らす隣では。
ライトから手渡されたキャロラインからの手紙を読んだユウが、フニャリと顔をデレさせている。
それに気づいたヒスイが、ヨーデルから視線を外すと
「ユウって本当に、キャロライン姫が大好きだよね」
若干引き気味にそう言うが、ユウは全く気にする様子もなく、満面の笑みで大きく頷く。
「うん!だって、キャロルちゃんだよ?!あの、可愛いキャロルちゃんだよ?!好きにならない訳が無いじゃない!」
「はいはい、この惚気っぷりは、ある意味ライト並かな」
「ん?なんだ?その【ライト並】ってのは」
会話の中に突然現れた自分の名前に、ライトは怪訝な顔でヒスイに尋ねる。
ヒスイは、フッ、と鼻で笑い、その問いに答えた。
「ライトとブルームのことだよ。ライトもブルームに相当ご執心のようだからね。こっちが恥ずかしくなるくらいに、暇さえあればイチャつい」
「やめろヒスイっ!ユウ王子の前でっ」
慌てたライトが、顔を真赤にしながらヒスイの言葉を大声で遮る。
「そういえば、僕もその話はキャロルちゃんから聞いたことがあるよ。ライト隊長とブルームさんは、ものすごく仲良しだって」
「・・・・はいっ。自分はブルームを誰よりも愛していますっ!」
「でも、僕とキャロルちゃんには、敵わないと思うよ?」
「恐れながら、そのようなことは決してございません!・・・・はっ、いえ、あのっ、ユウ王子とキャロライン姫のご関係を
「あははっ、面白いねぇ、ライト隊長って。赤くなったり青くなったり。大丈夫だよ、そんなこと思ってないから。でも、僕だって負ける気はしてないからね?それから、僕のことはユウでいいよ。僕もライトって呼ばせてもらうから」
「はっ・・・・有難き幸せ」
愉快そうに笑うユウと、まだ緊張が解けず、直立不動のライト。
その様子を眺めながら、ヒスイがボソリと呟く。
「ま、ここのもう一人の王子も、相当なものだとは思うけど」
「確かに」
ヒスイの言葉に、ヨーデルが反応したとたん。
「ユウっ!今度スーちゃんに持ってく・・・・ん?なんだなんだ?何みんな集まってんだ?」
噂をすればなんとやら。
【もう一人の王子】こと、カークが姿を現した。
※※※※※※※※※※
なにやら、面白い会話が始まりましたでしょう?
皆様、それぞれに大切な方、想う方がいらっしゃいますからねぇ。
ここでカーク様がいらしたので、まだまだお話は続きそうです。
長くなりそうですので、続きはまたの機会に。
よろしければ、いらしてくださいね。
ではまた。
ごきげんよう。
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