第三話 部室棟

週が明けた登校日、この季節は暑いことよりも湿気のせいで汗が乾かないことが不快だ。もしもこれが乾いた地域なら服はサラサラで背中にくっつかないし、気化してちょっぴり涼しいんじゃないだろうか。でもよくよく考えると日本の持つ魅力は豊富な水に支えられているのではないだろうか。なら夏湿っぽくても仕方ない。自己完結してしまった。

 時間は少し進み放課後、先生と迷路のような校舎を進む。部活が大量に存在しているのに比例して部室棟も複数存在している。それでも部室を持てるのは限られた部活だけで、古くから存在している文学部は第一部室棟にある。第一部室棟は五十年ほど前に老朽化から補修工事が行われたと先生が言っていたが、それでも五十年経っているし、外見は百年前のままだから見た目に貫禄がある。そのうち国の重要文化財にでも指定されるんじゃないんだろうか。いざ中に入ると年季の入った木目の床と簡単に割れてしまいそうなガラス窓、意外にもトイレは清潔で綺麗だった。ここだけは数年前に一斉に工事をしたらしい。それに風通しが凄く良いから爽やかな風が耳をくすぐって心地良い。

 文学部の場所は部室等二階の最奥、入り口には大きな木の立板に迫力のある文字で「文学部」と彫ってある。木製の扉を開く。四方の壁には天井まで届く本棚、中心には低めの大きなテーブル、大きなソファセット。そこにはゆったりと座った一人の少女がいた。

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