第28話 放課後に


更新が遅れて済みません。


-――――


 月曜日、教室に入ると隣の席の綾香はもう登校して本を読んでいた。俺が鞄を机の上に置くと

「おはよ慎之介さん」

「おはよう綾香」


 髪の毛を両手で耳の後ろにあげた。二年生になってまだ数日。もう綾香に声を掛ける奴がいるのか。

 

 隣の席なので髪の毛を触った後、目配せして来た。そしてふふっと笑うと目を本の方に戻した。

 今の笑いは何だ?




 私本城薫は席位置決めで窓側前から二番目と九条君から随分離れてしまった。高原さんは彼の隣。ちょっと悔しい。

 せっかく土曜日の放課後、彼とデートしたのに何も進んでいない気がする。



 九条君の席の方を見ると高原さんが本を読んでいる。


 九条君が教室に入って来た。例によって高原さんと朝の挨拶をしている。あっ、彼女が髪の毛を両方の耳の後ろに掛けた。そうか今日は放課後告白されるのか。


 しかし、二年生になってまだ少ししか経っていないのにもう告白する奴がいるとは!

 まあ、放課後の告白ついて行ってみるか。



 午前中の授業が終わると

「慎之介さん、お昼一緒に食べよ」

「悪いな」

「ううん、一緒に食べられて嬉しい」




「はあ、何かあの二人、どんどん深くなっている」

「そうね。羨ましいな」

「ねえ、ところでさ。あの二人もうしているのかな?」

「もうしてるんじゃない」

「でもなあ、高原さんいいなあ」

「じゃあ、あなたも九条君に頼んでみたら」

「ムリムリ」


おーい、女子達聞こえているぞ。



「ふふっ、慎之介さん。いいじゃありませんか。事実なんだから」

「えっ、おい、なんていう事を言う!」



「きゃーっ、聞こえた」

「うんうん」

「はあ羨ましい」



「綾香、いくら何でも」

「もう良いんです。慎之介さんに悪い虫がつかない様にはっきりさせます」

「…………」

 こいつ結構メンタル強いな。




 そして放課後、綾香が先に教室を出て行った後、俺も後をつけた。校舎の陰でちらっと綾香を見ると待て居たのは、えっ!




「高原さん、あなた九条君と付き合っているの?」

「そうです」

「でも友達なんでしょう」

「そうですよ」


「じゃあ、私が九条君に告白しても良いわよね」

「浅川さん、何故そのような事を私に聞くんですか?」

「決まっているじゃない。あなたから九条君を奪い取る。彼を私しか見ない様にさせるわ」


「随分大胆な発言ですね。彼はあなたには一ミリもなびかないわ」

「ふん、大した自信ね。やってみないと分からないじゃない」

「どうぞ」


「今言った事忘れないですね」


 そう言うと浅川さんは、俺が見ている方向と別の方へ歩いて行った。なるほど、朝含み笑いしたのはこういう事か。


 こっちに綾香が歩いて来た。

「帰りましょうか慎之介さん」

「ああ、しかし告白と思ったらまさかな」


「ふふっ、慎之介さんはモテますから。でも絶対誰にも渡しません。慎之介さん何処にもいかないですよね?」

「当たり前だ」


「少しでも振向いたら…………」

「振り向いたら?」

「ふふっ、大丈夫ですよね?」

「二回言わなくてもいい」




 それを別の所から見ていた本城薫。


 まあ、浅川さんやってくれるわね。やはりあの女気を付けないと。でも何故あそこまで。

 どういうつもりだろう。




浅川さん視点


 九条君は九条財閥の跡取り、必ず私に振向かせて見せる。今はまだあの女(高原綾香)を見ているけど、まだぜいぜい恋人同士、既にしているしていないなんて関係ない。

 私が必ず奪い取る。もう準備は整いつつあるんだ。



 それから数日たって、俺は下駄箱の蓋を開けると、なんだこりゃ?

生まれてもうすぐ十七になるが、初めて見る。手に取ると


 九条さん、放課後テニス部の部室に来て下さい。


はあ、勧誘か。俺はテニスなんか出来ないぞ。



教室に入ると

「慎之介さん、おはようございます」

「おはよ綾香」


今日は髪を触らない。無いのか。


「どうしたんですか、私の顔をじっと見て」

「これ」

下駄箱に入っていた手紙を見せた。


「ふふっ、モテますね」

「綾香に言われたくはないが」

「どうするんですか?」


「無視しようと思っている」

「そうですか」

 後は何も言わずに本に目を向けた。




昼休み


「慎之介さん、手紙の事、どうします?」

「言っただろ。無視するって」

「良いんですか。私への告白ならば男の人、ちょっとこの前は違いましたが。男の人なら待ち合わせに振ってもそんなに問題ないと思います。

 しかし、相手は女の子です。ずっと待っていたらどうします」


「……行けって言うのか」

「慎之介さんの気持ち次第です」




放課後、手紙を無視して図書室に行った。綾香も当然隣に座っている。



突然、女の子が図書室に入って来た。

「ねえ、浅川さんが、テニス部の部室で」

「なに?」


「テニス部の部室に三年の男の人二人が腕を引いて強引に連れて行った」

「えっ!」


 図書室にいる常連達も小声で騒いでいる。テニス部の部室って……。まさか!


「綾香ごめん」



 俺は急いでテニス部の部室に向かった。テニス部の部室はグラウンドの端にある。急いいで部室まで行くと中から


「きゃあ、止めて」

「へへ、」いいじゃないか」

「やっちまおうぜ、ここじゃ誰も聞こえないから」

「止めてー」


 急いでドアを開け

「何してんだ!」


「うるせいな。じゃまだ。引っ込んでろ」


 浅川さんはブラウスのボタンを外され、ブラが丸見えだ。いきなり男の一人が殴りかかって来た。

 避けて思い切り腹に膝蹴りを食らわすとそのまま逃げて行った。もう一人も同じだ。



「大丈夫、浅川さん?」


「九条君!」



ブラウスが脱げてピンクのブラだけで、俺に思い切り抱き着いて来た。

「ちょ、ちょっと」


 いきなり、俺にキスをしようとしたのでそれを避けて首を入り口の方に向けると


「っ!…………」


「慎之介さん、何しているの!」


 浅川さんがブラだけで俺に抱き着いてキスをしようとしている所を綾香に見られてしまった。


―――――


あれまあ!


次回をお楽しみに


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る