第22話 はっきりするのかしないのか
俺は高原さんの家のリビングに来ていた。俺の前には高原さんの父親が座っている。
俺の隣には高原さんが座っている。
まだ何も話していない。
「初めまして九条慎之介です。高原さんとは同じクラスです」
「そうか。綾香と付き合っていると聞いたが?」
「はい、お付き合いをさせて頂いています」
「君は綾香を一生守ると言ったそうだが、どういう意味で言っているのかね」
「言葉の通りです。高原さんを一生守ります」
「九条君、今私を高原と呼ぶと紛らわしいから綾香って呼んで」
「しかし」
「今だけ」
「一生守ると言いながら、まだ娘を名前呼びもしていないのか」
「はい、それとこれとは違うと思います」
…………。
「確認したいのだが。君は綾香を愛しているかね?」
お父様よく聞いてくれました。九条君答えて。
「…………。済みません。まだ感情が未熟で愛というものが何か分かっていません。
俺は綾香さんが好きです。一生守ろうと思っています。でも愛しているとはどういう事でしょうか」
「君はそれを私に聞くのかね。綾香、話がまだ早かったのではないか。もっと二人で話してからでも良かったのではないか」
不味い。話が変な方向に流れている。
「九条君…………」
何か不味かったかな。
「高原さん。はっきり言います。俺はまだ結婚とかという言葉をだすのには早い年齢と考えています。
まだ十六です。結婚出来る年齢は十八からです。そこにも満たない人間が将来を約束出来る訳がありません。すれば無責任と思います。
ですが…………。綾香さんから聞きました。高校卒業までに相手を決めないと見合いさせられて好きでも無い男と結婚しなければならないと。
それは止めて欲しいです」
「九条君!」
良く言ってくれました。
「そこまで娘から聞いているならば、例え結婚出来る年齢でなくてもはっきりと意思表示してくれないかね。
今都合のいい事を言って、気が付いたら綾香が捨てられていたなんて事にはならない様に」
「お父様。言い過ぎです!そこまで九条君に言うのは失礼ではないですか。私が途中で彼に捨てられたら、私の魅力が無かっただけの事。彼にその責任は有りません」
「綾香はそれでいいのか。九条君に捨てられてから高校卒業までに新しい相手を見つけられるのか?」
「それは…………」
「九条君。この話はまたにしよう。せっかく我が家に来たんだ。ゆっくりしていってくれ」
それだけ言うと綾香さんの父親はリビングを後にした。
「ごめんなさい。こんな話になるなんて思わなかったから」
「そうだな。流石に重かった」
「私の部屋に行こう」
「ねえ、さっき言っていた事だけど」
「うん」
「九条君は、私が好きで一生守るって言ってくれているよね」
「ああ」
「じゃあ、大切にしてくれる?」
「もちろんだ」
「だったら証拠見せて」
「えっ?!」
高原さんが俺に思い切りくっ付いて来た。
「ねえ、証拠見せて」
不味い。父親にあんな事言っといて、彼女の部屋でするなんて。
「今日でないとだめなの」
「どういう意味?」
「いいから」
「でもご両親が下に」
「もう居ないわ」
「えっ?!」
仕組まれたのか?でもどうすれば、した事無いし。
「なあ、今度にしないか」
「何で?」
「し、知らないんだ」
「ふふっ、私も」
倒された。
……………………。
「なあ、付けないと」
「今日でないとだめって言ったよ。大丈夫」
噂に聞いてはいたけどやっぱり痛かった。でも嬉しい。
九条君が横で寝ている。指でツンツンと頬を突いてみた。
「うっ、あっ高原さん」
「もう綾香でいいでしょう」
「あ、綾香さん」
「もう一度」
「あ・や・か」
「ふふっ、合格」
彼が唇を合わせて来た。
嬉しい。またしてくれた。
「もう午後四時だね。少し陽が伸びたのかな」
「もう二月も半ばだからな。そろそろ帰らないと」
「そうだね。でもちょっと待っていて。あっ、目は瞑ってね」
なんで、さっきまでしていたのに。
二十分位して。
「良いよ。目を開けて」
すっかり着替えている。
「お待たせ」
俺も着替えないと思って毛布を剥がすと
「きゃっ、いきなり起きないで!」
乙女心が分からん?
しっかりと着替えると
「少し表を歩こうか。駅向こうにファミレスが有るからそこでお茶でも飲もうよ」
「ああ」
「なあ、少し歩きずらそうだけど」
「いいの。直ぐに慣れるわ。ゆっくり歩こ」
はっきり言って歩きずらい。
ファミレスについてドリンクバーだけ頼んだ。高原さんは暖かい紅茶を俺は冷たい紅茶にした。俺が持って来た。
「九条君。慎之介と呼んでいい」
「良いけど。でも学校じゃ、今まで通りにしないか」
「でも九条君の事皆にはっきりさせたい」
「…………分かった」
「後、…………」
「なに?」
「告白して」
「はっ?今更いるのか」
「もう女の子に取って大切な事だよ」
「でもなんて言えばいいんだ。なんか先にみんな済ませた感じなんだけど」
「もう、まだ分からないの!」
「分からない」
「知らない!それ言うまで一緒になってあげないから」
「へっ?!」
なんか段々先が伸びている様な。
俺はもう一度高原さんを家に送って行った後、帰路に着いた。
しかし、何を今更言えばいいんだ?分からん。
家に帰って来た私を見てお父様が
「それでよかったのか?」
「はい。もう私は決めた事です」
「そうか、綾香がそう言うなら。でも難しいな」
「分かっています」
―――――
なんか、いきなり深くなりました。
次回をお楽しみに
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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