第40話 まったりとカマクラの中で
シロヤマの島は雪がたくさん降るし、めっちゃ積もる。そういうこともあってか、色んな使い方があるんだよな。まさか建物みたいに出来るとは思わねえじゃん。普通にあったけえし。明るいし。
「お前初めて見るんか」
今は知らない人(多分猟師だと思う)と一緒にカマクラという雪のドームみたいな中に入っている。コタツとやらでぬくぬくと暖かい酒とおつまみを楽しんでる。
「ええ。遠いところから来たので」
「そーか。俺は地元がここだからな。これが当たり前なんだ」
つまみは魚の臓物を煮たものらしい。口に入れると臭みが強い。酒があるからこそイケるって感じ。
「その感じだと大陸か。場所によったら、これも苦手なんでねえか?」
あー確かに独特の臭みがあるから、ヒューロで好む奴なんて少ないだろうな。けど俺は旅で経験したからな。慣れてきた。
「色んなところで食べてきましたからね」
「ほほお。噂だと大陸に辛いものもあると聞いたが、それは真か」
シィーヴィシュエとか、カーンダヴァとかだな。辛いのは共通してるけど、全然違う料理なんだよな。美味しいのには変わらねえけど。
「ええ。本当です。けど美味しいので大丈夫です」
「一番近いとこだとどこになるんや」
「ハイフォンシーですね。港に着いたら、色んな料理があるので辛いのもありつけるかと」
この反応だとどこかで聞いたことがある程度だろうな。
「ハイフォンシー。噂だと夜でも明るい街もあるとか。そういうとこよな?」
「実際明るかったですよ。夜でも」
「あと女と遊べるとか。いや。そりゃあさ。星天諸島にもあるで。けど場所限られてるし。べらぼうに高いし」
あー所謂あれか。風俗店みたいなとこ。ヒューロにそういうのねえんだよな。興味なさすぎてスルーしてたけど……多分ありそう。娯楽系のはあったから。そもそもそういう類って、高いんだよな。
「そういうとこはどこでも取られますよ。きっと」
「そういうもんかぁ。おう。ポチ」
白色の猟犬が入って来た。てか。でっか! でも懐いてるからか、怖さは感じない。
「うーん。腹減ったか。よしよし」
何か出したな。ジャーキーに近いな。ぱくりと食ったな。
「さあて。我々ももう少し飲むとしようか」
「あ。はい。いただきます」
静かな雪の景色にお酒と癖の強い食べ物と。貴族の過ごし方って感じじゃねえと思うけど、こういうのって多分冬だから出来ることなんだろうな。
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