第15話 コトの島に向けて

 オバケ屋敷行って次の日の朝。コウスケ達3人が俺の寝部屋に遊びに来ていた。俺がコトの島に行くのを知ったからだと思う。ゴロゴロと寝っ転がりながら、米の粉で焼いたものを食う。このしょっぱい感じはショウユをかけた奴だ。


「コトの島に行くんだよね?」

「そうですね」


 羨ましそうに俺を見てる。何でだろ。コトの島に何かあるってことか?


「何かあるのですか」

「うん。ジンドリガッセンって奴。あともうちょっとで始まるんだ」

「俺達もやってみたいけどさ。おっかあからやっちゃダメだって」


 なんか危険そうな香りしかしねえ。そう言えばウミヘビの島で北にあるコトの島に気を付けろとかそんなの言われた。俺の身体とか動きとかを見ての発言だったから……まさかガチで戦闘する奴じゃねえだろうな。


「えりーみたいに大きくて頑丈だったらいいんだろうけど」

「そういえば遠いとこから来たんだよね。えりーって」


 海渡ったり、大陸歩いたりしたし、まあ確かに遠いとこから来てる。


「そうですね」

「ジンドリガッセンってのを教えてあげるよ!」


 そんなわけでコウスケ達からジンドリガッセンについて教えてもらう。


「10人1組なんだよ。戦みたいにぶつかって、決まったとこをジンドッテクんだ。どんどん自分達の面積を広くして、時間が来るまでやってく感じ」


 やっぱ戦う奴だった。決まったポイントを奪って、どんどん敷地を増やしていく感じか。こういうのって、どうやって見るんだろうな。想像つかねー。


「どうやって見るのですか。正直想像が付きませんが」

「えっとね。見るんじゃなくて、聞くが正しいかも。コトの島だとジッキョウがあってさ。聞きながら仕事が出来るらしいんだよね。いーなー」


 聞いて状況を把握する形だったのか。聞きながら仕事……絶対出来そうにねえ奴だ。食事しながらとかなら大丈夫そうだし、俺も多分コトの島でそうなるんだろうな。


「えりー。出ちゃえばいいんじゃない?」


 いや待て。何でそうなった。


「そうだよ! なんか珍しい刀持ってるしさ! 周りの兄ちゃんより明らかに強そうだし!」


 持ち物と見た目で判断したか。ある程度は戦えると思うけど。まあ色々と難しそうだと思う。


「俺より強い奴なんていくらでもいますし。それに流石によそから来た俺が仲間として受け入れられると思いませんよ」

「えー」


すげえ残念そう。


「そうだよ。エリアルの言う通りだよ」


 そんでコウスケのお母さん、さり気なく話に入らないでください。


「規則が厳しいからね。事前の……」


 この後はただコウスケのお母さんの説明を聞いてただけだった。タメにはなったんだけど、長かったなー……。昼ごはん食う時間帯になってた。食べ終わって、子供たちは解散して、俺はちょっとだけ散歩に。あとは夕食食べて、寝て、出発の日になった。朝出発だし、まあ誰も見送ることはないだろうって思ったら。


「おはよー!」


 コウスケ達が宿の前で待ってた。はえーよ。つーか。今日が出発する日って伝えた記憶ねえんだよな。違った。いたな。コウスケのお母さんとか。


「おはようございます」

「今日出発なんでしょ? 案内してあげるから」


 って言われて、コウスケ達に付いて行く。色々と話しながら、港に向かってく。だいぶ涼しくなってきたな。日差しもそこまで強くねえし。


「こっちに乗ったら、コトの島に着くからね」


 乗り場にたくさんの船があった。1人だと絶対違うとこに行くやつに乗ってたかもしれねえし、感謝しねえとな。


「ありがとうございます」


 見上げる程大きい船に乗って、少しだけ経って動き出した。


「えりー! またねー!」


 コウスケ達、元気よく叫んでるな。こっちからも何か言わねえと。


「またお会いしましょう!」


 いつになるかは分からねえ。でも帰るときにはまた会える気がするんだよな。何となくだけど。だからそう叫んでおいた。そうすりゃ叶えられるだろ?

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