第37話⁂拓也と美月の異世界?夢の世界?の正体!⁂
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新潟県小千谷市にある造り酒屋〔菱本酒造〕1852年創業。
原料や品質にこだわった質の高い商品を提供するこの〔菱本酒造〕は長きに渡り愛され続けて来た名高い酒蔵である。
公園内にはサル山のある小動物園(無料)や、🏰城をかたどった郷土史料館(有料)、長岡の先人の石碑等があり、行楽客で溢れかえっている。
〔菱本酒造〕の跡取り息子菱本拓郎は大学生。
桜も見頃を迎えた今日は日曜日という事も有り、行楽客で賑わう悠久山公園脇にあるテントのあちこちで、町内会や婦人会の花見見物が、賑やかに開催されている為に注文が殺到。
何とも美しく艶やかに咲き誇る桜を横目に家路を急いでいると🌸。*いきなり””フラフラ~””と車を横切る人影が………?
””キキ――――ッ!キ――――ッ!””
慌ててブレ-キを踏んだ拓郎。
するとその時、少女がふらふら~!とその場でよろけながら倒れた。
ビックリした拓郎は咄嗟に支えて事なきを得たのだが。
「君は、一体どうしてこんな危ない真似をするんだい?」
するとその少女は拓郎の腕の中で泣き伏した。
「私は……私は……逃げて来たのです。助けてください!」
「エエエエエエ―――ッ!一体何処から逃げて来たんだい?」
少女はゆっくりと立ち上がり、顏を上げて拓郎に顏を向けた。
春先だと言うのに薄手のワンピ-ス姿にサンダル履きで、如何にも、隙を見付けて咄嗟に逃げて来た感が否めない格好だ。
よくよく見ると慌て過ぎて、ころんだのか?
ワンピ-スとサンダルが所々汚れているではないか?
またそれ以上に驚いたのは、余りにも整ったその造形美に、只々呆気にとられる拓郎。
まさに神がもたらした神秘。
「ともかく僕の車に乗って!」
暫く車を走らせていると、のどかな田園地帯に出た。
「もう安心だよ。今日は我が家にでも泊まるといいよ。親に頼んでみるからさ~!・・それより一体何が有ったんだい?」
「…………」
すると……いきなり————
ボッカ――ン〷///グッシャ———ン〷//ドッス——ン/〷/〷
いきなりトラックがぶつかって来た。
拓郎は脳振盪を起こして気を失っている。
その隙に目出し帽を被った謎の男が、その少女を車から奪いトラックに乗せて一目散に逃げた。
この養護施設生活を送っている美少女麗子は、余りの衝撃に軽い脳震盪は起こしているが、あいにく負傷はしておらず不幸中の幸い。
目出し帽の男茂に車で埼玉県の倉庫に連れていかれて、ヤクザに売り飛ばされそうになった麗子だったがが、拓郎のお陰で、今麗子は、〔菱本酒造〕の住み込みのお手伝いさんと一緒に生活している。
拓郎の度重なる力添えのお陰で最近は、すっかり一安心の麗子なのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
何事もなく月日が流れ、今麗子は縁あってこの〔菱本酒造〕で従業員として働いている。
それは一にも二にも養護施設出身の麗子が、働ける場所が限定されるかも知れない事に危惧した拓郎が、両親に頼み込んで実現したのだ。
一方の拓郎の両親は拓郎が「麗子を家で匿ってやりたい」と言った時から難色を示していた。
やがて2人は結婚を意識するようになるが、両親は養護施設出身の麗子を受け入れられず、結婚を大反対されてあの山田茂に助けて貰った。
こうして助けたり、助けられたりして拓郎と麗子と茂は大親友となって行ったが、
麗子に思いを寄せ過ぎる余りに、麗子を刺し殺そうとして、警察に捕まり刑務所で自殺した茂。
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この一連の事件は完全に拓也とは違う世界なのだが、何故こんな世界が美月と同様に現れてしまうのか?
異世界なのか?夢の世界の話なのか?現実なのか?
拓也と美月は、正体を突き止めるために奔走している。
◇◇◇◇◇◇◇
現在2022年1月某日。
衝突事故を起こしてからというもの〔菱本酒造〕の息子拓也と〔立花内科・小児科〕のお嬢様美月は、お友達としての付き合いが続いている。
そんなある日拓也から呼び出しを貰った。
「💌おじいちゃんの手紙を発見したんだ。若かりし頃のおじいちゃんとおばあちゃんの手紙、そこに一連の夢の正体が有ったんだよ。あれは、おじいちゃんとおばあちゃんのお話だった。異世界?夢の正体?が分かったかもしれない」
そこには、何とも因縁めいた2人の出会いが有った。
あの衝突事故で、拓也は1ヶ月の入院生活を余儀なくされた。
一方の美月の方は、大変な状態に陥っていた。
それはなんと衝突事故で昏睡状態に陥っていたのだ。
それでも、すっかり回復した美月は、異世界なのか?夢の中の世界なのか?どうしても事実が知りたくなって電話で呼び出され、急遽拓也の住む〔菱本酒造〕に向かった
あの親身になってくれた拓也の行動は、みんな異世界?、夢の中?の出来事だったのか、知りたくなり会いに行ったのだ。
◇◇◇◇◇◇◇
★実際の現実社会はこうだったのだ。
〔菱本酒造〕一家はこの日、家族で丁度見頃迎えた悠久山公園の満開の桜を、見に来ていた。
父と母それに跡取り息子菱本拓也19歳は、この時何とも美しく艶やかに咲き誇る桜を横目に、今まさに楽しい会話の真っ最中。
笑顔で顏がほころび、なんとも微笑ましい家族の団らんがそこにはある。
その時🌸。*
「キキッキキ————————ッ!」
視界が塞がれた四つ角で衝突事故を起こした〔菱本酒造〕一家と立花家族一家。
「キャッキャ-――――――――ッ!」
ボッカ――ン〷///グッシャ———ン〷//ドッス——ン/〷/〷
実際は〔菱本酒造〕一家の父親が運転していた車と立花家の父親が運転していた車が衝突して19歳学生の拓也と16歳美月は巡り合った。
そして付き合い出した2人は、異世界?夢の世界?を共有する事になった。
それでは一体何故、拓也と美月は同じ異世界を共有出来たのか?
それは1960年代のイランは、現在の8400万人の人口の4分の1ほどの人口だった。
拓也の祖母麗子は、1950年生まれ。
一方の美月の祖父アリは1960年生まれ。
同じ時代を生きた麗子とアリはなんと親戚だったのだ。
どういう事かと言うと、首都テヘランで誕生した拓也のおばあちゃん麗子と、美穂の父親であり美月のお爺ちゃんでもあるアリは、同じ町内で誕生した。
面積の割には当時人口が少なかったイランで、しかも同じ町内だった事から近親婚が多かった。
『イランは現在でも、近親婚が⒛パ-セントなのだそうだ』
だから……拓也は幼い頃に麗子おばあちゃんから、何度かおじいちゃんとの馴れ初め聞かされていた。
一方の美月もおじいちゃんのアリがよく話してくれていた事件、親戚の麗子おばあちゃんの恋愛話しが、こじれにこじれて大惨事になった話を聞かされていた。
たとえ10歳違いと言えども、イランに居た時から顔見知りの麗子とアリは、日本でも折に触れて親戚という事も有り度々会っていた。
そしてお互いの近況や悩み事を話していた
丁度アリが日本に出稼ぎでやって来た18歳の頃、28歳の麗子は茂に付きまとわれ大変な状態だった。
「会いたい。また会ってくれ!」
茂に、お構いなしに訳の分からない事を言って付きまとわれて散々の麗子は、とうとうブチ切れてしまった。
「いい加減にしなさいよ!もうあなたなんか大嫌い!私の半径10m以内に絶対に現れないで!あなたの顔なんか死んでも見たくない!」
茂は、自分の想像も付かない言葉を口にされて、麗子に対する怒りが、一気に込み上げて、今まで抑えていた怒りが爆発して、咄嗟に麗子を刃物で刺してしまった。
麗子はバタリと倒れて、見る見る辺りは血の海となった。
咄嗟に近くに居た通行人が救急車を呼んでくれたので、麗子は何とか命を救われた。
茂は、早速現場に直行した警察官に取り押さえられ、刑務所に監禁された。
心配された麗子ではあったが、しばらく入院しただけで済み、あいにく大事には至らず、回復して家に戻った。
それでも…家族の心配はいかばかりだった事か………。
やっと家族にも平和が戻ったのも束の間、なんと茂が刑務所で監視員の目を盗んで、タオルを紐にしてドアノブに引っ掛け首吊り自殺を図ったのだ。
そして…手当の甲斐もなく31歳でこの世を去った。
拓郎と麗子は、一時は大親友だった茂を自分たちのせいで失い、失意のどん底に突き落とされている。
「俺達の配慮の無さで……あんな優しい男を死に追いやってしまった・・・・クウウ( ノД`)…」
「私が悪いのよ。疲れていたのでついつい邪険に扱ってしまって…………クウウ( ノД`)シクシク…」
少女時代に天涯孤独となって、養護施設生活を余儀なくされていた麗子だったが、偶然にも日本に出稼ぎでやって来ていた唯一の親戚アリに、話すのは至極当然の事。
拓郎と麗子と茂の関係がこじれて、麗子が刺されて生死の境を彷徨った。
こんな話しを誰に話せましょう?
日本にいる唯一の親戚アリだけは親身になって聞いてくれるので、アリにだけ打ち明けていたのだ。
要するに拓郎と麗子の2人は、最終的に大親友茂を自殺にまで追い込んでやっとの事大恋愛の末、実を結ぶ事の出来た壮絶な過去を持つ夫婦だったのだ。
その話しが、余りにもセンセイショナルで、尚且つ衝撃的だったので、当然の事ながら、幼い頃に拓也の祖父母の結婚事情を、拓也と美月は知らず知らずの内に祖父母や両親から、聞かされていた事が頭の隅に刷り込まれていたのだ。
それが幼いながらに頭の片隅にあり、拓也と美月は同じ世界を共有することが出来たのだった。
いよいよ次回が最終回となります。
そこには想像も付かない結末が⁈
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