第36話⁂武丸の幻覚!⁂
ああああああ!嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!アアアアアアアア!僕は……僕は………?
どうしてしまったんだろう?
「あれ~?どこに来たんだろう?」
おどろおどろしい雰囲気のどんよりとした、薄暗い曇り空で、小雨が降っている
さらに靄(もや)が掛かり視界がさえぎられ、その河原はより一層地獄の様相を呈している。
風車がカラカラとまわり荒々しい岩場の合間から、硫黄の臭いが立ちこめる様子は、まさに「地獄」
よくよく見ると奥の池は真っ赤に血に染まり、あれは 血の池地獄なのだろうか
荒涼とした無機質な空間が広がる『地獄』
「ここは・・・アアアア~賽の河原~?」
嗚呼~!何とも不気味な光景!
「僕より小さい子供たちばかり、こんな所で一体何をしているのか………?」
10歳にも満たない幼子達が、このどんよりとした賽の河原で何かつぶやきながら、延々と石積みをしている。
そして誰もかれも青白い、それはまるで死人のような暗い無表情な顔で、只延々と怨念めいた歌を口ずさんでいる。
『ひとつ積んでは母のため ふたつ積んでは父のため
歌うその声哀れかし』
「なんだよ~?前に見た事のある景色?あのおねえちゃんの事、僕は本当は恨んでいるんだ!俺だけおいて行きやがって!」
💎🔹✨🔹💎🔹✨🔹💎🔹✨
✨🔹✨🔹 ✨🔹✨🔹✨🔹✨
「アアアア————————ッ!」
ここはどこ?滅茶苦茶キレイ💛
「僕は死んだのかな~?」
嗚呼~!それは何とも煌びやかで得も言われぬ美しさ。
宝石💎が至る所に散りばめられて、もうびっくりしたのなんのって!
あらゆる苦しみから解放されて、極めて楽な得も言われぬ美しい所、美しい天女も居て………天女が紫の羽衣を纏い天空を蝶のように舞っている。
四方八方から眩いぐらいの後光が差して、とても過ごしやすい気候で、天からは色とりどりの華の雨が降り注ぎ、息を呑む程の美しさだ。
地面には金、銀、瑠璃(青い宝石)、水晶、白いつやのある貝、赤い真珠、めのうなど「七宝」の宝石💎が敷き詰められて色とりどりのイルミネーションの花が咲いたように見える。
「ワァ~~すご~い!煌びやかで、こんな世界見た事無い!」
至る所に宝の睡蓮(すいれん)が咲いている。一つ一つの宝の睡蓮は、三十六億の光を放っている。
金、銀、瑠璃、水晶、赤い真珠の樹木にはキラキラ輝く宝の実がなっている
だが一瞬………枯れ木になった気がした………美月。
「変だわね?こ~んなにきれいな財宝の山が枯れ木になる訳が無いのに?…きっと勘違いだわ?」
赤や黄色や緑の何とも美しい鳥が優雅に天空を舞い、優雅な声でさえずっている。
宝石で彩られた並木や宝石で飾られた網が、そよ風に揺られて妙なる音を鳴らす。
それは百千もの音楽が一緒に流れているように何とも美しい響き。
みな自然に仏を思い、法を思い、僧を思う気持ちが起こるのだ。…
仏様の国土には、常に天上の音楽が流れており、一日に六回、曼陀羅華(まんだらけ)の花が空から降りそそぐ。
だが、その時その煌びやかな華の雨の中に………黒い蝶なのか?……コウモリなのか?
不気味な大群が押し寄せて来た。
「武丸この美しい極楽浄土に、あの不気味な大群怪しいでしょう?」
「おねえちゃん何言ってるんだい?何も居ないよ?」
地蔵菩薩様に尋ねても。
「な~んにも見えないよ。美月は頑張って武丸の手伝いもやったから疲れているのだよ!」
その時、極楽浄土の入り口付近に、鋭い悪意に満ちた巨大な目がピカリと光った気がした。
「地蔵菩薩様、絶対に見えますって?」
「ワッハッハーワッハッハー可笑しな娘だな~、何も見えないよ!」
「本当だよおねえちゃん変だよ?」
「私が変なのかな~?」
まあ~皆がそういうのだから仕方なく、またもや極楽浄土巡りを開始した。
今度は極楽浄土にある宝の池にやって来た。
「七宝の池」というらしい。
池の中には、葉の大きさが車輪ほどの蓮華が咲いている。
赤色の蓮華は赤色の光を🌸*🌸*🌸*
黄色の蓮華は黄色の光を❀✨❀
青色の蓮華は青色の光を💎🔸💎🔸💎🔸
白色の蓮華は白色の光を放ち✨❀✨清らかで芳しい香りを放っている。
白や黒はもちろん、黄色や朱色、紫など、限りない色の輝きを放っている。
すると今度は地球程のキラキラ光る✨✨目が現れた。
「デッカイ、地球くらいのピカピカ光る目が見える。ああああああああ!グルグルグル回る!ああああああああ!黒い塊これは一体?」
地球程のキラキラ光る✨✨目に{何か、とんでもない不吉な物なのでは?}と気味悪く感じていたが、どうしてもその実態を調べてみたくなった。
そして、とうとうその目の玉に飛び込もうと一気に勢いを付けてぶつかってみた。
だが、中々硬くてとても割れそうではないと気付いたので、大ハンマーで勢いよく割ってみた。
……だが割れない。
そこでバカみたいな話で、まさかとは思ったが、念力で一心に念じてみた。
すると……一体どういう事でしょう。
まるでガラスが割れる様に””ピシッ、ピシピシピシピシ””と目の玉の光る部分が音を立てて割れ始めて、その後はパッシャンパッシャンと爆音を鳴り響かせ一気に割れた。
「あれ~?僕はもう人間では無くなってしまったのだろうか?念力を掛けると念力が掛かる。一体どうなってしまったんだろう?それから………何だこの爆音は?爆弾を千個束ねて爆発させたくらいの音だ………でもあの目の中はどうなっているのか?」
念力が使えるという事は、何か……自分には底知れない力が備わってしまったのでは?
そう思い、一気に加速して飛び込んでみた。
「ギャッギャ————————————————ッ!」
まるで洞窟のような真っ暗な中を一気に落ち続け、どのくらい経っただろうか、
””カッシャ——ン””と音がしたのだが、どうも真っ逆さまに落ちてガラスの上に落ちたらしい。
すると……そこに自分の理想の女性、美月にそっくりの美少女が居た。
という事は、美月の事をよく知っている、美月に恋をしている男の子という事になる。
この謎の少年は一体誰なのか?
氷の華に包まれた、どこか儚くも美しい表情の「美少女」は、ダイヤモンドのあしらわれたティアラと七色に光る宝石を散りばめたイアリング。
ブルーで美しくふわりと宙に舞う蝶々の様な、ドレスに身を包んだガラスの様に透明な、全体に氷の華をあしらった、まさにガラスの王女様と言った出で立ちの美少女が今目の前に立って居た。
透き通った白い肌と、内に秘めた強さを感じさせる真っすぐな瞳に一瞬余りの美しさに言葉を失った少年。
すると……その美月にそっくりな美少女が、
「ようこそ、このガラスの国に来て頂き、嬉しくて言葉もありません・・・それと言いますのも、こんなガラスの突き刺さった国には誰も寄り付かなくて、もう何年も来客らしい来客は無いのです」
武丸は、洞窟のような真っ暗闇の中を落ちて来たので、全く辺りの状況を把握していなかった。
このガラスの世界は、名前の通り、辺り一面ガラスがピカピカ✨キラキラ輝き、それは眩いばかりの輝きを放ち、得も言われぬ美しさ。
だが、よく見ると小さい砂の様に砕けたガラスや、かなり大きいガラスが至る所にグッ刺さっていて危険極まりない状況。
その為この国の人々はガラスの葉に乗って空中移動なのだ。
だが、王家の一族だけは豪華なガラスの華で空中移動している。
「まあ~一見夢のような世界だが、こんな危なっかしい、いつガラスにぶつかるかもしれない、又いつ突き刺さるかも知れないこんな国は避けて通りたくなるわな~?
だけど僕は確かに念力で、あの光り輝く目の正体が知りたくて、ここに飛び込んだが、その時に僕はそれ以上に『可愛い自分好みの女の子が、どこかに居ますように』と念じていた気がする…………って事は、僕には念力で何でも自分の意のままになる能力が備わったって事?キャッホ――うれしいな~!ああああああ!じゃ~あの美月ちゃんにそっくりな女の子を、念力で僕を好きになってくれますように………そしてウッフッフ~僕にキスをしてくれますように」そう念じて見た。
早速美月にそっくりのガラスの王女さまがヒュウ—ッと現れて、その謎の少年に近づいた。
すると……その時、物凄い爆音とともに、このガラスの世界は一瞬にして粉々に崩れ
去り跡形もなくなった。
美月ちゃんにそっくりの王女様の気持ちが、余程拒絶反応を起こしたせいなのか、要するに恋愛だけは念力では通用しないようなのだ。
両想いにならないと、小手先のインチキは通用しないらしい。
要は武丸は密かに年上の美月に恋をしていたのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
物凄い爆音とともに、ガラスの世界は一瞬にして粉々に崩れ去り、その後には無機質なまるで砂漠のような世界が広がった。
{ああああ!なんか~寂しい……それでも…この目の中は一体何処なのだろう…………そうだ!散策してみよう}
そう思いこの砂漠のような世界をぶらぶらしていると……その時、目の前に巨大な大型画面が現れて…………。
『新潟県○○市の○○小学校6年生の男子生徒達が学校の帰り道歩道を走行中、歩道にバスが突っ込み、運転を誤ったバスに衝突され、手当の甲斐なく即死しました。名前は○○亮君、○○○○君他……』
「エエエエエエ―――ッ!亮君達は、死んでしまったんだ。フンざま~見ろ!いずれ
{そうだ!僕は食べる事が何より好きだ。よ~し美味しい物をタラフク出して下さい。そう念じてみよう}
そして…念力で大好きな中華料理を出してタラフク食べた。
「ああああ!幸せ💛さぁ~家に帰ろう」
だが、どこまで行っても只の砂漠のような世界が広がっている。
それも……その砂漠はどこまでも、血のように真っ赤なざらざらした、一見するとまるで燃え上がる🔥炎のような砂漠地帯が広がっているのだった。
武丸は亮君達に恐喝されて居たのだが、美月達にチクった事を咎められ、その挙句に暴力を振るわれて、生死の境を彷徨い昏睡状態に陥った。
だが、運の良い事に奇跡的に意識が回復したのだが、日に日に恐ろしい幻覚に苛まれてキチガイのように暴れ出す有り様。
奇妙な幻覚の正体は、武丸が頭部外傷後精神病性障害(PDFTBI)で恐ろしい幻覚に苛まれてキチガイのように暴れ出していたからなのだ。
賽の河原と極楽浄土、更にはデッカイ地球くらいのピカピカ光る目の正体も、武丸が幻覚を見ていたから起こった現象だった。
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