第29話⁂秘密!⁂



 美穂と犬猿の仲になってしまった真由美は後悔しきり。

 例え結婚出来なくても、学の笑顔にまた会いたい。

 頭の中は学の事で一杯。


 当然、姉の最期の言葉が頭から離れないので、学と美穂の幸せを賛成出来ないのもあるが、それ以上に決して綺麗ではない、お世辞にも美人とは言えない、へちゃむくれの真由美は、自分の事はさて置き、結婚相手に求める条件、それは高学歴、高収入、高身長、更に超イケメン。


 自分が容姿に自信が無いので、{どんな事をしてもイケメンじゃないと!}と言う強いポリシーを持っている。

 要は理想が高すぎるのだ。


 その為、心の中にいつも学がいるので、もう結婚しているにも拘らず、他の人には目もくれない真由美。

 そこに来てとんでもない秘密を握ってしまった真由美は、今度こそ学をどんな事をしても自分のものに。


 それはどういう事かと言うと…………。

 姉が、言っていたあの秘密を暴露して学と美穂を引き裂こうというもの。


「これは秘密の話しね!実は……美穂の母親は造園業を経営する家のお嬢さんで父親はイラン人。一方の学の父親誠さんは〔立花内科・小児科〕院長で、母親の洋子さんはお寺のお嬢様なのだが、学の父親と交際以前にイラン人と交際していて、とんでもない間違いをしていたらしいのよ?」

この言葉の意味する事とは?


 学の母親洋子はお寺の箱入り娘で、そのお寺は、荘厳な由緒正しいお寺らしく人里離れた場所に有る為、学の母親洋子は全くの世間知らずで初心な女性だった。


 発展家の友達に誘われてサタデーナイトに出掛けて『ディスコ・キャメル』で踊る事が唯一の楽しみ。


 そこに夜な夜な現れる美しい少年?青年?は、この界隈では、余りの美しさとダンステクニックに、若い女性たちの間では、チョットした有名人。


 イラン人のアリは、多数の民族の美しい顔立ちの遺伝子を受け継いだ、何とも端正で美しい美少年。

 辛い仕事のうさはらしの為に夜な夜なやって来るのだ。


 抜群のダンスセンスのアリの事を『ディスコ・キャメル』の王子、プリンス、キングと巷の女性たちは噂で持ちっきりだ。

 そんな魅力的な男に、夢中にならない女性が居ましょうか。


 そんな時に、アリに声を掛けられたのが、学の母親洋子なのだ。

 そして妊娠、その時既に学の父誠と結婚話が進んでいて、どうも学はアリの子供ではないかと言う話なのだ。


 それが証拠に誠には似ても似つかないイケメンぶり。

 父親の誠は純日本的な顔なのに、一体誰に似たのか?


 モテモテのアリは本当はプレイボーイだったのだ。


 そして…美穂の母親順子の度重なるアタックで徐々に付き合い出し、やがて恋に落ちた2人。

 順子は日本人で、造園会社を営む家庭のお嬢さん。

 こうして結婚した2人には、やがて美穂が生まれた。


 モテまくっていたアリはこの時若干19才で、美穂の母順子は既に24歳だったが、2人の気持ちが一気に高まり、アリは5歳年上の順子と結婚した。



★【日本に国際化という言葉が定着して久しい。日本においては、1970年末あたりから、来日外国人の増加の傾向が見え始め、特に80年代後半から来日する外国人が激増した】


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