第25話⁂武丸の正体!⁂



 それでは弟翼の大親友『Ⅹ』君と、私こと立花美月の関連性から話を進めて行こう。



 まあ~?実際のところ、賽の河原なんて…………。

 異世界で起きた事だったのか?夢だったのか?それとも…現実の話だったのか?

……定かではないが?


 私、立花美月は7歳で死後の世界、賽の河原に辿り着いたの。

 そしてせっせと河原の石積みにせいを出し、鬼さんの妨害にもめげずに石を積み続けて、とうとう地蔵菩薩様のお導きで三途の川を渡らせて貰える日が来た。


 アアアアア!それでもひょっとして地獄に突き落とされたらどうしよう?でも極楽浄土に住むことが出来たらこんな幸せな話はない!


 希望以上に不安で押し潰されそうな美月。


 その時に4歳の武丸と言う坊やも一緒に渡れる事になった。

 武丸はまん丸に太っていて現世でも、この身体に匹敵する食いしん坊さんだったらしい。

 何でも目の前に有ると食べたくなる子供だったらしく、夏場にクーラ-が効いていない部屋にうっかり昼食の残り物が、テーブルに出してあったのを食べて、敢え無く命を落としてしまった。


 おばあちゃんの家が隣に有るので、その日は、お泊りして来ると言っていたので、うっかり出しっぱなしにして置いたら、食いしん坊の武丸が匂いに誘われ、こっそり帰って来て食べてしまったのだ。


 昼食の残り物が腐り、ブドウ球菌が発生して食中毒で死んだのだ。


 こんな感じで、幼いせいもあるが、やることなす事どんくさい。

 放っておいたら絶対虐めの標的だわ?


 私は、もう三途の川を渡れる日にちが決まっていたので、武丸の石積みをず~っと手伝ったわ。


 それでは美月が、何で手伝ったかって……?

 まあ~?可愛い所もあるのよ。

 ぷよぷよ太っていて愛嬌があり、ついつい笑顔になっちゃうのよね。ウッフッフッフ~!


 そして、とうとう鬼さんの妨害にも打ち勝ち、武丸の石を積み上げることが出来たの。


 こうして、待ちに待った三途の川を渡る日がやって来た。

 私と武丸は三途の川の入り口で、地蔵菩薩様を待っていたの。


 すると……地蔵菩薩様が現れて、私達は三途の川を渡る為の代金六文を払い、赤い太鼓橋を渡って極楽浄土に着いたわ。



💎🔹✨🔹💎🔹✨🔹💎🔹✨

💎🔹✨🔹💎🔹✨🔹💎🔹✨


『嗚呼~!それは何とも煌びやかで得も言われぬ美しさ。

宝石💎が至る所に散りばめられて、もうびっくりしたのなんのって!

四方八方から眩いぐらいの後光が差して、とても過ごしやすい気候で、天からは色とりどりの赤や黄色や桃色の華の雨が降り注ぎ、息を呑む程の美しさだったわ』


『本当だね~!あんまり綺麗でビックリ!』


 こんな荘厳かつ何とも煌びやかな極楽浄土に、留まれるのかと思いきや、私と武丸はどういう訳か、現世に突き落とされてしまった。


 あれ~?武丸も一緒に現世に来ている筈だが?


 武丸はどこに行ってしまったのかな~?



★それでは、重要ポイントを紹介……中学3年生のあの日、私が弟の翼を助けようとオタク達に協力してもらい、虐めっ子退治に出掛けた日の事だ。


『ああああああああああ!義母智子の虐待によって、7歳で立花美月は亡くなり、賽の河原に辿り着いた筈なのに、何で中学3年生で現世に居るの~???

その事は徐々に紐解かれる事になる—————』


 悪ガキ亮達に、恐喝されていたので助けようとオタク達に協力してもらい、虐めっ子退治をしていると、その時人影に気付き、慌てて翼だけを連れ帰ったのだが、『Ⅹ』君だけ置き去りにしてしまった。


 その為、酷い暴力に遭い、生死の境を彷徨い昏睡状態陥った『Ⅹ』君。


 だが、運の良い事に奇跡的に意識が回復したのだが、日に日に恐ろしい幻覚に苛まれてキチガイのように暴れ出す有り様。


 見るに見かねた両親に付き添われて病院で診察して貰った結果、頭部外傷後精神病性障害(PDFTBI)と診断された。


 実は、なんと、この男の子『Ⅹ』君は、美月が賽の河原で石積みを手伝った武丸だったのだ。

 そして…この武丸であり『Ⅹ』君は、実は茂と深い繋がりが有る。



👻_________________________________💀

 これは死の淵に立った美月と武丸が、実際体現して地蔵菩薩様から現世に引き戻してもらった出来事。


 美月は、散々義母に虐待を受けて、三日三晩死の淵を彷徨った挙句、実際に賽の河原を体現していたのだ。

 そして…何とか死の淵から生き延びていた。


 一方の武丸『Ⅹ』君も昼食の残り物が腐り、ブドウ球菌が発生して居るにも拘らず食べてしまい、食中毒で死の淵を彷徨い、賽の河原を体現して、何とか現世に引き戻された。

👻_________________________________💀


 美月と翼と武丸は、何か目に見えない因縁で結ばれていたのかも知れない。


 翼のママと武丸のママはジムで知り合っていたから、小学校からのママ友と言われているけれど、本当は幼い頃に武丸君と知らず知らずの内に会っていたのかも知れない。


 だから……賽の河原で美月が武丸『Ⅹ』君を助けた事も偶然ではなく、気付かない内に1度や2度会っていて、他人のように思えなくて、懸命に助けていたのかも知れない。

 だってママ同士は随分以前からジムでお友達だったのだから…………。


 その数年後に起きたいじめ事件で、武丸『Ⅹ』君が自分を犠牲にしてまで、口を割らなかったのも、まだ4歳と幼かったが『賽の河原』で美月に助けられた恩を、ぼ~んやりだが、どこかで感じていて、亮達にあれほど「バラしたら許さないからな!」と言われていながら、裏切り姉達を差し向けた翼の事を、最後まで守り通して口を割らなかったのかも知れない。


 何処かで見えない糸に操られられて、起きた事件だったのかも知れない。













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る