第12話⁂拓也と美月!⁂



 夢なのか現実なのか?

 様々な幻覚に苛まれながら美月は成長した。


 そして…2022年1月某日、衝突事故を起こした相手の息子拓也と、お友達としての付き合いが続いている。


 そこには、何とも因縁めいた2人の出会いが有った。

 すっかり回復した美月は、ある日異世界なのか?夢の中の世界なのか?


 そこで私を助けてくれたあの日の出来事は、現実には起こっていなかった只の異世界の夢の中の話なのか、知りたくなった美月。


 あの親切だった拓也の行為は皆夢の中の出来事だったのか知りたくなり、またもや会いに行ったのだ。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 この現実の世界では美月は現在22歳で拓也は現在25歳、早速〔菱本酒造〕に駆け込んだ。


 すると……今まさに仕事に精を出す菱本拓也を発見。

 嬉しくなって迷惑も顧みず駆け寄り、異世界?夢の中?の衝突事故の話を拓也は、覚えているか知りたくなり、打ち明けた。


「アアアアアア————————ッ!俺もそうなんだ。現実が食い違っているんだ。

あの日の配達帰りに、何とも美しく艶やかに咲き誇る桜を、横目に家路を急いでいると🌸。*いきなり””フラフラ~””と車を横切る美月ちゃんを見たんだ。そして…キキ――――ッ!キ――――ッ!と慌てて俺はブレ-キを踏んだんだ………するとその時、美月ちゃんがふらふら~!とその場でよろけながら倒れた。ビックリした俺は咄嗟に支えて事なきを得たのだが、君は、『私は……私は……逃げて来たのです。助けてください!』と言ったから、俺が今度は、『一体何処から逃げて来たんだい?』と聞いたけど………黙りこくって何も話さなかった………春先だと言うのに、薄手のワンピ-ス姿にサンダル履きで、いかにも隙を見付けて咄嗟に逃げて来た感が否めない格好だったので、慌てて車に乗せて暫く車を走らせていると………のどかな田園地帯に出た……それで……『もう安心だよ……今日は我が家にでも泊まるといいよ。親に頼んでみるからさ~!……それより一体何が有ったんだい?』と聞いても『………』黙りこくっていたんだ。すると……いきなり————ボッカ――ン〷///グッシャ———ン〷//ドッス——ン/〷/〷いきなり黒のワゴン車がぶつかって来たんだよ。君は連れて行かれちゃったし?僕は意識を失って何も覚えてはいないんだ」


「拓也さんその後どうなったの?」


「俺は……後ろからやって来た人に助けられたらしいんだ。そして助かったんだ」


 あの日、暫くすると後ろから車がやって来て、拓也は助けられ事なきを得たのだ。


 こうして拓也も折角助け出してやった少女を、連れさられて美月と一緒で、相手がどうなってしまったか?いつも心のどこかに引っ掛かっていた。


 それにしてもこの2人は、異世界の夢の中の世界を共有できているという事は、まんざら夢の世界は間違いではなく、存在しているのかも知れない?

 だから美月が統合失調症という事は違うかもしれない。


 それではもし?異世界?夢の世界?が全くのまやかしだったなら、転生など出来ない筈。

 早速極楽浄土に渡ろうと転生してみた。

「あぁ~?眠気が……眠気が……」


 一方の拓也も美月と同様に、こんな現世界に何故戻って来てしまったのか、未だ理解できないでいるのだ。

 そこで、転生して地獄に渡ろうと試してみた。

 すると眠気が襲って来た?{ああああ……}


 それでも…1つ疑問なのが?何故拓也のような、働き者の優しくて思いやりのある男が地獄に落とされたのか?


 実は、酒屋の息子と言うだけあって酒が大好きで、飲酒運転で一度だけ事故を起こして、猫を引き殺してしまった事が有った。

 そんな理由があり、叫喚地獄に落とされたのだ。


 叫喚地獄(きょうかんじごく)は飲酒をした罪人が入れられる地獄。ここでは恐ろしい姿をした鬼たちに追い回された挙句、大鍋でしっかりと煮込まれ、鬼たちに骨の髄まで食べられてしまう。また火炙りもあるので、一般的に認知されている地獄は、この叫喚地獄になる。


 じゃ~拓也が何故現世に戻れたのか?

 それは、見て分かるように地獄に居た時からその人柄は、高く評価されていて、閻魔大王様の大のお気に入りだったからだ。


 隙あらば現世に引き戻してやろうと算段していたが、遂にうるさい地獄の幹部達が、寄り合いで出払った隙に現世に送り届けてやったのだ。



 拓也と美月は2人だけが知りえる異世界の真実が一体何なのか、毎日のように会って話し合っている。


 どうして2人は、あの世の極楽と地獄を見ることが出来たのか、地蔵菩薩さまと閻魔大王様に何かを託されたのであろうか?


 それとも……あれだけ自分たちの身に、次から次へと想像も出来な事態が起きるという事は、自分たちの身近にとんでもない悪の手が忍び寄っているという事なのか?


 それを予知した地蔵菩薩様と閻魔大王様が、拓也と美月を自由自在にあの世とこの世を転生できるように仕組んでいるのではないだろうか?


 美月は、幾度となく両親の不吉で不気味な巨大で黒い影に悩まされ、一方の拓也はいつも死が迫って来て、死の影に苛まれている。


 アァ~それから……義母だった智子と弟の翼がご近所さんで、まったくの赤の他人ってどういう事………?


 ご主人様が海外出張の為、2人で住んでいる。だが……何か…?暗い、異様な雰囲気の……まるで……幽霊?死人?みたいって一体どういう事………?


 その謎は徐々に紐解かれて行くのである。
















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