第11話⁂狂気⁈⁂


””ゴッゴゴゴゴ————————ッ!””


””グルグルグルグルグルルルルル————————ッ!””


 物凄い爆音と共に、台風の目の様な渦に巻き込まれ、凄い凄い勢いで現世に引き戻された美月。


「美月~!」


「美月しっかりしろ~!」


 美月は遠くから心配そうに叫ぶ聞き覚えのある声が、徐々に、徐々に、大きくなって来るのに気付いた。


「アッ!私は夢を見ていたのかしら?」


 目を開けると、ベッドで眠り続けていた美月を心配そうに覗き込む、優しい父親の学と美しい母親の美穂がそこには居た。


「エエエエエエ―――————————ッ!今までの、あの賽の河原の出来事、極楽浄土、地獄体験は全て夢の世界の出来事なの?」


{どれが現実で…………どれが虚構の世界なのか、分からない}



 そう言えばあの日は、どの家族も浮かれ気分ですっかり気が緩み、あんな大事故に遭ってしまったのだ。


 悠久山公園は「おやま」の呼び名で親しまれ、自由広場や泉翠池周辺等に約2500本もの桜が咲き誇り❀*・⋆🌸


 何気ない日常の風景が桜の花に彩られて⋆~*

 🌸*。❀*・⋆一面春色の世界


 公園内にはサル山のある小動物園(無料)や、🏰城をかたどった郷土史料館(有料)、   長岡の先人の石碑等があり、行楽客で溢れかえっている。


 すると……桜吹雪の花びらが雪のように舞い❀*・⋆

 何とも艶やかな事。*


〔菱本酒造〕一家はこの日、家族で丁度見頃迎えた悠久山公園の満開の桜を、見に来ていた。

 父と母それに跡取り息子菱本拓也19歳は、この時何とも美しく艶やかに咲き誇る桜を横目に、今まさに楽しい会話の真っ最中。

 笑顔で顏がほころび、なんとも微笑ましい家族の団らんがそこにはある。


 その時🌸。*

「キキッキキ————————ッ!」


 視界が塞がれた四つ角で衝突事故を起こした〔菱本酒造〕一家と立花家族一家。


「キャッキャ-――――――――ッ!」


 ボッカ――ン〷😰〷 グッシャ———ン🤮〷🥴〷//ドッス——ン🤕//〷//


 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「まあ~美月ったらやっと目を覚ましたのね、あの時はびっくりしたわ!家族で1年前、丁度桜の見頃を迎えた悠久山公園に家族で桜見物に出掛けて、帰りに衝突事故に遭い美月は1年間意識不明だったのよ…………アァ~でも……?やっと意識が回復出来てママはこんなに嬉しい事はないわ!」


「本当だよ、美月が事故に遭ってからというもの、俺達はず~っと神社仏閣巡りをして、神仏に願いを乞う為に『立花内科・小児科医院』を医師で従業員の山本君に任せっきりで、北は北海道、南は九州まで遥々神社仏閣巡りをして神仏に願いを乞うていた…………アァ~やっとその甲斐が有って無事に美月が救われた…………アァ~なんと幸せな事だ!」


「エエエエエエ―――———————ッ!ぶつかって来た犯人は捕まったの~?」


「アァ~!前方不注意で両方に非が有り示談交渉中なんだ。あちらの〔菱本酒造〕の跡継ぎも事故に遭って暫く入院していたんだ」


「まさか・・・菱本拓也って人じゃ~ないの?」


「そうなんだ!美月の3歳年上で大学生だよ」


「エエエエエエ―――ッ!あの時は私よりも、かなり年上だったのに、3歳違いってどういう事?」


「あれ~?パパとママ駆け落ちして新潟市に住んでいるんじゃなかった~?アアアアアア…………それから……義母智子はどうなったの~?それから……それから…弟の翼はどこよ?」


「ワッハッハーワッハッハー………アァ~そう言えばご近所さんが、智子さんと翼君だ………ご主人様が海外出張の為、2人で住んでいる。だが……何か…?暗い、異様な雰囲気の……まるで……幽霊?死人?みたいだ……と噂する人も少なからずいるんだよな~?・・・それから……家族で引っ越して来て3年にもなると言うのに……御主人様を一度も見た事が無いんだ………何か……不気味だよな?」


「そうだ折角意識が戻ったから、久しぶりに外の空気でも吸いに少しドライブでもしようか?」


「あなたったら~何を言っているの、意識が回復したばかりの娘が、そんなことできる訳無いじゃないの?」


その時、美月は何を思ったのか?スクッとベッドから起き上がり歩き出した。


「イヤ~痛快!痛快!ママ大丈夫!ドライブしたい!だって~?今までず~っと寝たきりだったんだもの」


 こうして3人は喜び勇んでドライブに出掛けた。

 だが家を出ようとした時、父と母の背後に何か不気味な大きな黒い化け物のような形をした影が出来て、それはリビングをまるで黒い絵の具が垂れる様に、あっという間に埋め尽くされた。

「キャ――――――――ッ!これは何?コッ恐い!」


「オイ!美月どうしたんだ?」


「本当よ!美月大丈夫?」


「キャ――――ッ!ママ恐い!」


 抱き付いても、抱き付いても、身体を触れない?

 姿が存在しない?


 そう思い、ふっと顔を見上げてママの顔を覗き込んだ。


「キャッキャ-――――――――ッ!骸骨?ママじゃ~無い?あなたは……あなたは一体誰?」


 恐くなった美月は今度は父に目を向けた。


{あれ~?パパだ!な~んだ?私が変なだけだ。ママも笑顔で私を見詰めている}


 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「美月ちゃんは統合失調症です。お父様お気付きになりませんでしたか?オッホッホッホ~。自分の近親者の病気を信じ込まない様に、ワザと都合の良いように、自分にブレ-キを掛けていらっしゃったのではないですか?放っておくと大変な事になります」


 美月が狂っているのか?それとも・・・



【統合失調症は、幻覚や妄想といった精神病症状や意欲が低下し、感情が出にくくなるなどの機能低下、認知機能の低下などを主症状とする精神疾患】







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