第6話⁂母の死!⁂
ある日美月は、不思議な体験をした。
あれは確か、美月がふっと新潟県庁所在地新潟市の新潟駅前に、用が有って出掛けた時だ。
その時、一際目を引く美しい18歳~20歳ぐらいの女性が横切った。
「エエエエエエ―――ッ!」
美月は、一瞬余りの衝撃で心臓が止まるかと思うほど驚いた。
それはどういう事かと言うと、余りにも自分に生き写しの、また生前の母美穂を彷彿とさせるその姿に驚き、只々その姿を目で追っている美月なのだった。
幼くして母美穂を失ったのに、何故顔を覚えていたのかと言うと、実は父がお守り代わりに星のペンダントの中に、母の写真を入れてくれていたのだ。
美月は今尚、肌身離さずそのペンダントを身に付けている。
寂しい時、辛い時、ペンダントの蓋を開け母の面影にすがっていた。
するとどういう訳か、自分の力量を遥かに超えた力が備わる気がするのだ。
{嗚呼!そうだ!唯一無二の大切な母かも知れない女性に、折角会うことが出来たのに、これを逃したらもう二度と会うことが出来ない。そうだ!私の用事など、たかが知れている。絶対に後悔しない為にも後を付けよう}
幼くして別れた、今尚夢にまで見るあの恋しい母を、たとえそれが全くの赤の他人だとしても、このチャンスを逃したらもう二度とこんなチャンスは巡ってこないと思い、必死で跡を追った。
すると……新潟駅南口近くの、お洒落なヨーロピアン風街路灯が立ち並ぶ一角に、どこか懐かしい見覚えのある若い男性を発見。
それは、父親学を彷彿とさせる、若かりし日の父親学によく似た男が、街路灯の前に立っているではないか…………。
その時自分に生き写しの、若かりし頃の母を彷彿とさせるその女性が、若かりし頃の父親学によく似た男性に笑顔で話し掛けている。
やがてその両親に生き写しの2人は、さも嬉しそうにお洒落な街路灯が立ち並ぶ街並みを歩き出した。
すると……一軒のCDショップからあの頃流行った、昭和レトロ感漂う『硝子の少年』が聞こえて来た。
🔹.:°☆.。 ♪♬
ガラスのように、傷つきやすい少年、少女の思いを綴った昭和レトロ感漂う楽曲。
その繊細で美しい旋律に乗せられ、ステップを踏みながら遠巻きに、付け狙っていると2人は、駅前のターミナル付近の駐車場から、あの当時若者に人気のトヨタ・スープラ(A80)に乗って走り出した。
美月は、地蔵菩薩様に転生憑依出来る身の上にしてもらったので、自由に浮遊することが出来て、一気に加速して幸せを運んでくれると言われる青い鳥になり、空に飛び立った。
【★死んで違う肉体を得る=転生★動物などが精神的・肉体的に人間に乗り移る=憑依】
すると……2人を乗せた車は、1時間チョットで若いカップルに人気のスポット、恋人岬に到着した。
日本海フィッシャーマンズケープの恋人岬は、カモメが空を舞い、青く澄んだ空と日本海に囲まれた断崖の岬。
佐渡弥彦米山国定公園のなかでも、福浦海岸を一望できる景勝地で、晴れた日には遠く佐渡を望み、日本海に沈む夕日の中で2人は愛の南京錠を掛けて、永遠の愛を誓った。
ここに設置されている柵にふたりでカギをつけると、将来幸せにむすばれるといわれている恋愛成就のスポット。
すると……この2人の行動を陰から付け狙っている人影が……?
鋭い恨みのこもった瞳。
一体誰なのか?
実は不慮の事故で亡くなった母と言われているが、実は故意に事故に見せかけ殺されていたのだ。
只確証できる物証が無いので事故死として処理されていた。
愛を誓い合い、幸せの絶頂に居る2人だが、この時既に愛する母美穂の死へのカウントダウンが始まっていた。
そんな事とは露知らず、幸せの絶頂に居る2人は、カフェの窓から青い日本海や、沈む夕日を眺めながら見つめ合っている。
余りの美しいカップルに、まるで映画のワンシ―ンのようだ。
夕暮れ時は日本海に沈む夕日が、オレンジから、やがて真っ赤にグラデーションしたかと思うと、やがて薄暗いバイオレットの幻想世界が広がって行く。
それは何とも幻想的でロマンティックなオーシャンビュ―である。
◇▲◇
「学それどういう事?高校時代から付き合っているのに、今更『別れよう』だなんて、あんまりよ。ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
「俺とお前は幼馴染みで、家も近所でお前の兄と俺が同級生だったので、子供の頃から、お前は兄と連れ立ってよく家に遊びに来ていた。そして…何でも話せる仲だった。お前が美穂ちゃんと大の仲良しで、家に連れて来た事が有る……俺は美穂に一瞬で恋をしてしまった。そしてお前に手紙を渡してくれと頼んだ……だがいつまでたっても返事は無かった……後で分かったのだが、お前が美穂に手紙を渡していなかったんだろう?酷いじゃないか?そして……そして、美穂も本当はお前に『学の事好きだから、私の事どう思っているか……?それとなく聞き出してくれない?』と頼まれていたのに両方に『脈が無いから諦めなさい』と言って俺を失恋の痛手から救うふりをして取り入って来た訳だ……酷すぎだろう!」
過去の複雑な恋模様の末、やっと辿り着くことが出来た2人は、喜びもひとしお。
苦労の末やっと掴んだ幸せ、2人はこの幸せが壊れるのが何より怖いのだ。
その為、幸せの真っ只中に居る2人は{またこの恋が壊れるかも知れない!}と思う強迫観念に苛まれ、余計に深い絆で結ばれている。
恋人岬で愛を誓い合い、お洒落なホテルで一泊。
翌朝ホテルをチェックアウトした2人は、津南町の津南ひまわり広場に向かった。
沖ノ原台地の一面に、50万本のひまわりが咲く津南町の夏の風物詩、それはそれは圧巻の一言に尽きる。
真夏の太陽が燦々と降り注ぐ、そんな灼熱地獄に見舞われているにも拘らず、この美しいひまわり広場を2人は熱さも忘れて、只々手を繋ぎ{一分一秒たりとも離れられない}そんな熱い思いで、このひまわり広場を歩き回っている。
その時美穂は、何か恐ろしい人影をキャッチした。
「誰?恐い!」
「大丈夫だよ!俺がいるから」
何故このような事になってしまったのか?
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