第2話⁂義母のいじめ!⁂


 あの美しい少女立花美月は、実は心無い義母の毒牙に掛かり、若干7歳で命を奪われてしまっていた。

 じゃ~!あの子は幽霊だったの~?

 徐々にそれは紐解かれて行く。


 ◇◇◇

 ここは賽の河原である。


 今、賽の河原では、地蔵菩薩様(じぞうぼさつさま)が幼くして命を落としてしまった子供達を、救済しようと懸命に思案中。


 そして……にんまり含み笑い。

 何か良い案がひらめいたに違いない!


「ウッフッフッフ~!ワッハッハッハ~!まずは、この賽の河原の子供達の中の、親から虐待された子供達を救おう!色んな子供がいるな~?病気で命を落とした子供達………それから……交通事故などの不慮の事故で亡くなった子供達………更には我が子を虐待する親、全く酷い!人間の皮を被った只の獣。食事もまともに与えて貰えず餓死した子供達………それから……言う事聞かないと言って風呂釜に顔を押し付けて窒息死させただと――ッ!酷い話だ!……それから可愛そうに、こんなに虐待を受けて、顔はパンパンに腫れ上がって見る影もない。だが、原形は非常に美しい娘だ。このままでは弱い立場の子供達の被害が益々増える………その為には、どうしようもない親達をギャフンと言わせてやらないと………虐待を受けた子供達ヨ!今こそ立ち上がるのだ!復讐するのだ!目には目を歯には歯をだ。分かったか?ワッハッハッハ~!」


 秦広王(しんこうおう)様も嘆いておられる。

「本当に酷い事をする。これが人間のする事か?呆れた話だ!」


「さあ~!親から虐待を受けた子供達を救え~!そして…目を覚まさせるためにも、復讐するのだ!」


 ▲▽



 三途の川とは常世(この世)と幽世(あの世)を隔てる境目にある川のこと。

 故人が死者(亡者)となって7日目に、魂は三途の川を渡って天国(極楽浄土)や地獄に向かう。


 対岸も見えない大きな大河・三途の川の手前に有る賽(さい)の河原で、親に先立ち冥土の旅に出る子供達が、延々と石積みをしている。


 冥土の世界に咲き誇る曼珠沙華(いわゆる彼岸花)

 一重組んでは父のため、二重組んでは母のため…………。


『秦広王(しんこうおう)様による審判を受けていただいてから三途の川を渡っていただきます』

 人が生まれた時から、その両肩には倶生神(ぐしょうじん)が宿る。


 その右肩に乗る女神は善きことのみを、もう左肩に乗る男神は悪しきことのみの罪状を記す。



 ◇▲◇

 新潟県小千谷市にある造り酒屋〔菱本酒造〕で、暫くの間お世話になる筈だった12歳の美少女は、実は天国とも地獄とも言えない、賽の河原からやって来た少女、立花美月。


「私が3歳の時に、ママが不慮の事故で亡くなったの………それでパパが私を不憫に思い、早速新しいママと結婚したのね……弟も生まれて暫くは安泰だったけど………あの女、義母が私を事あるごとに因縁を付けて、虐めてくるようになったの。それでも私も気に入られようと必死でお手伝いもしたし、弟の面倒も甲斐甲斐しく見ていたの。それでも益々虐めは加速するばかり………それは、それは、虐めは酷かったわ』


「お前のような子は、この家に必要ない。可愛い我が息子にお金が掛かると言うのに、お前が家に居られたら、この子に十分な教育が受けさせてやれない」


 父親が仕事で家にいない事を良い事に、散々虐める義母。

 ある時は食べ物。

 ある時は虐待。

 ある時は言葉の暴力。


「お前はこれでもお食べ!」


 そして……息子とこの女義母は、おやつに老舗洋菓子店で買ったケーキを食べ、美月にはパンの耳に砂糖をまぶした、豚の餌にも劣る物を与えるのだ。


「私もケーキが欲しい!」


「フン!何言ってるの?あんたなんかそれで充分!」


「ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


「うるさい子だね!」

 ピシャリ


「ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


「ママあんまりだよ!御姉ちゃんが可哀想」

 弟の翼はかばってくれるのだが————


 食事も義母と翼は唐揚げで、美月には目玉焼き、それでも優しい弟翼がコロンと皿に唐揚げを入れてくれるのだが………。


「翼そんな事したらダメ!」と怒鳴り散らす有様。


『私は、お腹が空いて夜中に起きて、盗み食いがクセになって居たのね。ある日とうとう義母に見付かり散々虐待を受け、原形を留めない程の暴力に遭い、死んでしまったの……そして……この賽の河原に辿り着いたの』


【★地蔵菩薩:「子供の守り神」「お地蔵さん」子供が喜ぶ菓子が供えられている。「お地蔵様」と呼ばれる】

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