魔法界を救う

魔法界を救う(1)

 翌朝、午前9時を過ぎた頃、洋介は自分の店の店内に行き。1人、開店準備をする島田主任の背後に行き、数秒間立ち尽くしていると。島田主任が後ろ振り向き、洋介にちょっと驚き。

「店長、本当にやめてくれます!? 突然背後に現れるの……!? それに、余計なまねをしてすみませんでした」

 昨日、島田主任は、洋介に内緒で福山総理に墓参りの件のこと詫び、深々と頭を下げると。

「光ちゃん、ありがとう、感謝している、この礼は必ずするからな」

「本当ですか? じゃ私たちの夏のボーナス、もの凄く期待していいんですね?」

「光ちゃん、そういうのは、やめようよ!? 夢とロマンが逃げちゃうよ!?」

 夢とロマン、なんか久しぶりに聞いたような気がした島田主任だが、洋介は首をかしげている。

「ちょっと待った。光ちゃん、もしかしてこの件、ボーナスのために、ってことはないよね?」

「はぁ!? それどういう意味ですか? 私がそんなことする人間だと思います?」

「わかんない」

「わかんない、って店長、洒落になんないですよ、その答え」

「光ちゃん、なんで私の冗談は、通じないんだ?」

「冗談なんですか?」

「冗談に決まってるだろう?」

「わかんない」

「わかんない、って」

 その時、青く光輝く物体が、突然洋介の背後で浮いている。

「洋ちゃん、なんか面白そうね」

 その声に洋介はちょっと驚き、後ろ振り向くと、3Dホログラムの青の魔法石が現れ。

「あなたが島田主任ですね!? 初めまして私が青ちゃんです、よろしくね」

「……」

「なんか驚いてます? ちょっと意外ですね、こういうのには驚かないタイプだと思ってたんですけど」

「サクラさんから聞いて知ってたんですけど、ちょっと驚きました。背後から現れるよりかはましですけど」

「さすが店長代理、いや、もう店長ですね」

「そう思います、って言いたいところですけど、私はまだまだ、店長にはかないません」

「そうなんですか? なんか面白くないんですけど、って言いたいですけど、光ちゃんは、魔法使いには興味はないんですか?」

「興味ですか? ないわけではないですけど、今は必要ないですね。働くことは生きることですので。まぁ、魔法電池で、光熱費がただとまでは言いませんが、半額になったらいいですよね」

「働くことは生きることか!? 確かにそうかもね、その辺は洋ちゃんもわかっていると思うよ。働けない人の手助けとか、どうやったら魔法とうまく共存できるか、問題は山積みだけどね」

「一つ聞いていいですか? その青く光っているのが、魔法エネルギーですか?」

「そうだけど、あぁ、そういうこと。これって圧縮してるからこの大きさなの、展開したら日本領域よりちょっと大きいかな」

「なるほどねー、すごい技術だすね。それにしてもサクラさんにそっくりですね。なんでそうなんですか?」

「わかんない……」

 すると、青の魔法石は、何も言わず突然姿を消し。何かまずいことを聞いたような雰囲気になり。

「店長、何か聞いてはいけないことを聞いたのでしょうか?」

「わかんないけど、その件に触れるな、ってことじゃないのか? 大丈夫、今はそうっとしとこう」

「……わかりました、けど、謝るときは、謝りますので」

「わかった、その時は、私も謝るから」

「なんで店長が?」

「店長だからに、決まってるだろう?」

「はぁ!? そこは家族じゃ、ないいんですか?」

 すると、突然また洋介の背後に、3Dホログラムの青の魔法石が現れ。

「洋ちゃん、なんか面白そう……ごめんなさい、おじゃましました」


 なんでまたお前が現れる。そんな雰囲気の中、青の魔法石はまた姿を消し。店内で立ち尽くい2人は、いったいこの時間はなんだったんだと思っていた。

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