片割れの魔法石(4)

 青の魔法石が言う、2つ目の厄介とは。

 白の魔法石が復活すれば、黒の魔法石がそのことに気づき、この地球にやって来る可能性がある。黒の魔法石の魔法力は、白の魔法石の5倍以上。圧倒的に黒の魔法石の方が強い。しかし、魔法石は人間が生み出したもの、人間が使ってこその魔法石。その魔法力も人間によって覚醒する場合があると思われ。果たして洋介にその内なる力があるのか。

 

 白の魔法石が待つ魔法エネルギーを分散したことで、黒の魔法石は白の魔法石を感知できず見失い、この地球には来ていないはず。もし黒の魔法石がこの地球に来ていれば、この地球は魔法戦争の絶えない星になっている。この地球に1000年以上もどこかに身を潜めているとも思えない。

 ただ、白の魔法石が青の魔法石になった変わった時でも、黒の魔法石は、その魔法エネルギーを感知できるのか。それに1000年以上もどこかで白の魔法石を探している可能性があるのか。


 洋介は、突然ベンチから立ち上がり。冗談じゃない、そんな不確定なことに押しつぶされてたまるかと思い。闘志を燃やすような目で青の魔法石に、黒の魔法石のことを詳しく聞いた。

 すると、あるアイディアを思いつき、この魔法なら行けると思っていると。その表情を見ていたサクラは、何か閃いたと思い。

「洋ちゃん、何か思いついたの!? どうやって戦うつもり?」

「戦う!? 戦わないよ、なんて戦うの!? あっ、そうかある意味、闘うのか、というよりこれは魔法勝負だな。くどいようだけど、魔法は争いの道具ではない。それに、私は、争いは嫌いだけど、勝負となれば話は別、鑑定なら誰にも負けないけどね」

 その時、洋介の隣のベンチに座っていた、福山総理が何か思い出し笑みがこぼれ。

「洋ちゃんらしい回答だな、戦わないか!? いいんじゃないの、それで、勝率はどれくらいだ?」

「防御魔法で守り抜き、それがダメなら……こればかりはやってみないとわからないけど、99パーセントの確率で、勝つ方法あるけど、これは最後の手段だからな」

「最後の手段……!? まさか、そのアイディアって……洋ちゃん、隠すつもりじゃないだろうな?」

「さすがだね、福ちゃん、わかったようだね」


 洋介は、いつになく真剣な表情で、思いついたアイディアを話した。

 すると、確かに、その方法なら、99パーセントの確率で勝てる、地球は救われる。しかし、そのことで、青の魔法石は、何も言えず。サクラとサクラの両親も何も言えずにいたが、これが魔法使いとしての責任というのなら仕方ないと、サクラの父親は魔法界の王として言った。


 何か重たい空気感の中、これ以上のないアイディアを聞かされ、これを超えるアイディアなどないと悟り。洋介としては、断腸の思いだが、本当に現れるのか、黒の魔法石。会いたくないものだなと言った。


 青の魔法石は、魔法を源として、責任を痛感じていた。それを察したのか、洋介は、不確定なことに脅える必要はない、このアイディアを使わないためにも最善を尽くす、他にも何かいいアイディアがないか考えるから、みんなも一緒に考えようよ。そう言うと、深々と頭を下げ。

「青ちゃん、その悲しい顔するな、私が必ずなんとかする、それにみんなもいる。こんないい保険、他にはないだろう?」

「確かに、でも保険は失礼じゃないの、でも、保険料をぼったくらないでよ!?」

「はぁ!? 私がそんなことするわけないだろう? 勘弁してよねー、なんでみんな私を見る……!?」

「なんか面白いね」

「面白くない、そんなこと言ったら、本当に保険料をぼったくるぞ?」

「ほら、やっぱり、ぼったくるきだ」

「あのねー……」


 この光景にサクラは、もうそろそろ止めないと、洋ちゃんがいじけて地面に穴を開けそうなので、もうその辺にしといたらと、この2人に言うと。学校のチャイムがなり、昼食タイムとなった。


 青の魔法石は、自分の部屋、魔法空間に戻り、使い魔たちも杖の中に戻ると。洋介たちは自宅のリビングに行き、サクラの母親の手料理を美味しそうに食べていた。

 そんな中、福山総理は、食後のコーヒーを飲みながら、こんな状況だけど魔法の存在を知りワクワクしていた。そして、必ず魔法国第1号になると闘志を燃やしていた。

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