片割れの魔法石(3)

 洋介は、何か勘違いをしているのか、まるでサインのない絵画を鑑定するかのように。

 こいつは厄介だな、なぜサインを入れなかったのか。贋作か、いや違う、サインを入れなかった何か理由があるはず。なんかワクワクするな、これこそ夢とロマンだ。


 なぜ白の魔法石を造る必要があったのか。守りなら青の魔法石だけでよかったはず、青ちゃんだけで。誤って造ったのか、いや違う、何か理由があるはず。なんかワクワクするな、これこそ夢とロマンだ、と思ったけど、何か違うよな、よくわからない。私としたことが、ニーテに会ってその理由を聞いてみたいと思うとは。


 青の魔法石の言う、2つの厄介な問題とは。

 1つ目の厄介とは、青の魔法石だけでは、日本領域を守るのが限界。このままでは世界中の人たちが魔法を使うスペックがまったく足らない。3つ魔法石が揃わないと、地球は守れない、世界中の人たちが魔法を使うことができない。


 残りの魔法石を探し出すには順番がある。必ず、1番目に緑の魔法石を手にすること。もし順番を間違って、1番目に赤の魔法石に近づくと身体を乗っ取られ操られ、攻撃魔法の魔法大辞典が現れる。但し、攻撃魔法の魔法大辞典を無効化する方法はある。ただ、乗っ取られた人間の命の保障はない。


 これは、別に順番さえ間違わなければ、厄介な問題ではないはず。ただ、厄介なのは、洋介の方。

 私には攻撃魔法など必要ない、私を乗っ取ることは絶対にできない、絶対にみんなを守って見せる。その強い想いがある限り決して逃げないところがある。

 青の魔法石は、念のためにサクラを同行させ、洋介と2人で片割れ魔法石を探すことに決まった。


 白の魔法石の魔法力を10とすれば、青の魔法石は2、赤の魔法石は3、緑の魔法石は5となる。但し、魔法管理責任者によっては、緑の魔法石は天秤のように、青にも赤にも、どちらでも傾く。

 洋介にとっては攻撃魔法はいらない。しかし、防御力は7となり、攻撃力の3がいらない。だから防御力を10にする方法はないのか聞くと。青の魔法石は、10にできる方法があると言う。

 それは、白の魔法石を青の魔法石に変える方法。そうすば、攻撃魔法は一切使えなくなり、二度と白の魔法石には戻れないと言う。

 洋介は、戻る必要ない、青の魔法石さえいてくれればそれでいいと言った。

 青の魔法石は、その一言を待っていたようで。嬉しくてしょうがなく、冗談も言えず、浮かれてはいけないと思い、2つ目の厄介のことを話し始めた。

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