片割れの魔法石

片割れの魔法石(1)

 青の魔法石は、突然洋介たち4人の前に現れ、本題とは何か、何を話すつもりなのか。


 私は、皆さんが思っている通り、この星の者ではありません。じゃ、どこから来たのか、ってことになりますよね。それに、今さらですけど、なんか都合よく、私はどこの星でも対応できるようになっています。


 私が生まれた星の名は、「ゲーテ」と言います。この地球では、ドイツを代表する文豪、小説家で有名な人ですけど、特に関係はありません。

 ゲーテは、地球環境によく似ていますが、その大きさは地球の4倍です。太陽系でいえば天王星の大きさに似ています。

 ゲーテもこの太陽系によく似た環境が中に存在し、この地球人たちと大差なく似ているゲーテ人が住んでいました。今はどうなっているかはわかりません。なにせ、私がゲーテから逃げるようにこの地球に来て、1000年以上は経っていますからね。


 私の記憶によると、ゲーテは、今の地球より遥かに高度な文明で栄え、科学が発達し。いわゆるUFOみたいなもので、月と同じような位置関係にある星、「メーテ」に簡単に行くことができました。

 そんな環境の中、なぜ私が生まれたのか。それは、どこの星でも同じなんですか、なんか悲しいですよね、戦争で私を生み出すなんて。

 いくら高度の文明が栄えても、それを使う人間が間違った使い方をすれば、その末路は悲劇でしかない。

 多くの人間が命を落とし、関係ない人間が犠牲になり、その惨劇を私は目の当たりにしました。あんなの光景は二度と見たくありません。


 私は、ある科学者の手により生まれ。その科学者名は、「ニーテ」、男性です。なんか、「テ」が多いけど、なんなんですかね。私は、日本語の方が好きかな。

 ニーテは、この戦争はもう誰にも止められないことを悟り。だったらどんな攻撃からも身を守る物質を探せばいいと考え、必死になって探したそうです。

 でも、私をどうやって生み出したのか、私にはわかりません。おそらく、誰にもその設計図を知られたくなかったんだと思います。だって、極端な言い方をすれば、魔法大辞典に願いを書けば、なんでも叶う魔法の道具ですもんね。

 でも、隠れて研究していたことが、親友の科学者にバレちゃって、まるで大金を手にし、人が変わるよう現象が起こって。その科学者は、ニーテの妹を誘拐し、魔法石の特性を知っていたことで、魔法が届かない場所、メーテにニーテの妹を監禁した。その特性ですが、魔法は、その星の中でしか効力は発揮できません。

 ニーテは、その科学者に脅され、大量の魔法石を造らせ、世界中に魔法石をばらまき、戦争を拡大させ、その光景をメーテから見下ろし、きっと鼻高々と笑っていたはず。

 そして、ついにあの科学者は、私を寄こせと言ってきた。ニーテは、それだけ渡せないと拒んだ。そしたら、私より強い魔法石を造れと言いわれて、誤って造ってはいけないものを造って、そいつが厄介な奴だったの。


 魔法石による魔法は、人間でしか使えない。しかし、あの魔法石、黒の魔法石は違った。自分の意思で魔法を生み出し、自ら魔法を使い、人間の言うことは一切聞かず。感情の赴くまま、他の魔法石を取り込むことで、巨大な魔法力を得て。人間を操り、やりたい放題で、この世界を焼きつくして行った。


 私の魔法では太刀打ちできず、今度は私を取り込もうと、黒の魔法石が私を狙ってきた。その時、ニーテは、私に逃げろって言った。私は、ニーテに従うしかなかった。いわば私はAIのようなもので、ニーテの指示に従うようにプログラムされ。私は、魔法で黒の魔法石から逃げた。

 私には、最後のニーテの言葉が残っています。「逃げて、他の星でその魔法を生かせ、悪い奴らに協力するな、それを見極めろ」、ってね。だから、私は洋ちゃんを選んだ、その証拠が黄金の魔法の杖、あなたに魔法を託します。言っときますけど、これって告白じゃないからね。

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