魔法への想い(3)

 10年ぶりに洋介と福山総理は再会した。もしこの2人の再会がなかったら、洋介は国に了承も得ず、というか海上約1メートル上空に浮かぶ魔法島に国の許可が必要なのか。

 洋介が考える魔法島は、通行する船舶や航空機、海洋生物たちに影響を与えない、外部から見えない、存在すらわからない、どんなレーダーにも探知などされない仕組みになっている。いわば存在はするが存在しない、空気のようなもの、それに許可が必要なのか。


 突如現れた、海上約1メートル上空に浮かぶ魔法島。いきなりSNS、メディアなどで発信し、世界中に国民にその意義を訴え、政府を動かす予定になっていた。


 福山総理は、再度『魔法の未来』ノートをパラッとめくり、ノートを閉じ。洋ちゃんの魔法に対する想い、言いたいことはよくわかった。まずは、洋ちゃんとサクラさんが特A魔法士になり、魔法界の住人たちを救い出し、魔法島を造り出してから、魔法推進国家プロジェクトを発動させ、2年間はこのプロジェクトは極秘扱いとし、その責任はすべて私がとる。そう決意した時だった。


 突然、4人の目の前に、青の魔法石が現れ。野球ボールと同じ大きさの球体で、あの甲子園球児たちのように熱い情熱を燃やすくらいに眩しいくらい夏の青空のように青く光り輝き、宙に浮いている。

 すると、青の魔法石の上から、3Dホログラムのような原寸大の立体映像の女性が現れ、その姿がちょっと紛らわしいかった。まるで双子の姉妹ように、サクラにそっくりで、声まで似ている。洋介はこの状況に、いったいこいつは何を考えているのか、困惑気味の中、青の魔法石が妙なことを言いだした。


 皆さん、ごめんなさい、夢やロマンをぶち壊すような真似をして。私も、夢やロマンは嫌いじゃないわよ、でも、迷ったのよねー、あのことを話す時期をどうするか。どのみち話さないといけないことだし、姿を隠すのもねー、なんか失礼だし、私たち仲間だからね。

 もともと私は、現代のAIのように感情などもっていませんでした。しかし、洋ちゃんがあの木箱の鍵に触れた時、人間が持つ感情が芽生え、とても不思議な感覚でした。でも、そこで思ったの、半永久的に生きていくことに。まぁ、それはそれで、仕方がないことなんだけどね。まぁ、それはそれとして、本題に入るわね。


「洋ちゃん、唐突だけど、何色が好き?」

「本当、唐突だな、青だけど」

「えっ!? それって、もしかして告白!? 私、魔法石なんですけど」

「で、本題って、なんなの?」

「なんか、いつになく真剣ね。なんか、面白くないかですけど、告白する相手は、サクラちゃんだからね」

「……」


 私は、洋ちゃんが魔法管理責任者にふさわしいかどうか、見極めさせてもらいました。その結果、この人なら魔法管理責任者を任しても大丈夫だと結論を出しました。まぁ、私の勘ってやつかな。

 リアクションなしかい、そこは「勘って何? 勘って?」、でしょう。なんか面白くないんですけど。でも、魔法を定着させるには、この時代の方が合っているのかもれないね。


 確かに、福ちゃんが思っている通り、洋ちゃんの魔法に対する想いは凄すぎる。当然、デメリットもある。それに、洋ちゃんは鑑定士を諦めていない。二刀流、私はいいと思うよ、洋ちゃんらしいからね、でも、言っとくけど難しいわよ、って言われなくてもわかっているか。前置きはこれくらいにして、本題に入りますね。

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