父の遺言(6)
翌朝、午前8時。洋介の父親は、洋介と島田に店を任せ。群馬県の目的地まで、片道2時間20分くらいかかる。そこで、洋介の両親2人で行くことになり。2人は、軽トラに乗り込み、カーナビに目的地を入力し。もし本物だったらと、ちょっとワクワクしながら出発した。
ところが、群馬県に入ると、突然ゲリラ豪雨がみまわれたが、これくらいなら大丈夫と車を走らせていると。突然、何かが飛び出し、それを避けるためにハンドルを切り、路面は雨で濡れ、そのせいでスリップが発生し、ハンドルを取られ、電柱に激突した。
洋介の両親は、近くの病院に搬送されたが、ほぼ即死状態だった。警察は事故原因を調べ、原因を突き止めた。洋介の父親が運転していた軽トラには、ドライブレコーダーが取り付けてあり。警察が確認すると、映し出された映像には、突然飛び出しきた野良猫が1匹映っていた。
洋介が警察からこの事故の知らせを受けたのは、事故が起きてから2時間後のことだった。洋介は突然両親を同時に亡くし、店内の電話越しに呆然と立ち尽くし、突然泣き崩れ。
隣にいた島田は電話をかわり、事情を知り、涙を必死にこらえ。洋介の手を握り、病院へ行くぞと言い、店の車に洋介を乗せ。運転席では、島田がカーナビに行先を入力し、その画面は少し濡れ。2人が病院へ到着したのは、午後2時30分を過ぎていた。
一方、洋介の両親の到着を待つ買い取りの依頼人は、予定到着時刻を30分過ぎても到着しないので、連絡用の店のスマホの番号を聞いていたので、かけてみると繋がらない。この時、そのスマホは軽トラのドリンクホルダーに入れ、事故の衝撃で潰れていた。
買い取りの依頼人は、店の連絡先は、そのスマホの番号だけしか知らない。店を紹介した親友とは、仕事の都合で連絡が取れない。仕方ないので、スマホにメールを送った。
福山がこの事故を知ったのは、午後2時30分過ぎ。この時、洋介のスマホは査定室に置き忘れ、店の従業員から事故の話を聞かされ。島田と連絡がとれると、洋介に電話をかわり、洋介は言ってはいけないことを言った。
こうなったのもお前のせいだからな、お前があんな依頼さえしなければ、お父さんも、お母さんも死なずすんだ。お前の顔など二度と見たくない、店にもうちにこないでくれ。
それ以来、10年間、福山と洋介は会っていない。
洋介はわかっていた、福山のせいではないとことぐらい。ただ、福山が発した言葉が、「私があんな依頼さえしなければ」、その言葉に洋介は、行き場のない想いが爆発し、あんな暴言を吐いた。
誰のせいでもないことぐらいわかっている。運が悪いのか、冗談じゃない、そんなので片付けないでくれ。洋介は、どうしょうもない行き場のない想いだった。
洋介が暴言を吐いたあと。島田は、洋介の両親が査定するはずだった依頼人に連絡を取り、事情を話し、急ぎ依頼人の自宅へ行き、査定をした。
その結果、幻のセル画と思われた物のだけが偽物で、他は全て本物だった。依頼人は、査定額の320万を手にし、喜び、倒産は免れ、複雑な思いで島田に感謝をしていた。
この2週間後、島田は、勝手に査定をしたことを改めて洋介に謝り、自分の査定に間違いがなかったか、再度、洋介に査定を頼んだ。
すると、査定に間違いはなく。洋介は、あの時は申し訳なかったと、頭を下げ。島田は、その場で主任にとなった。
洋介は、両親に何も親孝行できなかった。だから、私がやるべきことは、この店を守り、100歳まで生き抜き、鑑定士を極めること。あとは、福ちゃんと仲直りすること。お父さんの想いを引き継ぎ、必ずあのセル画を探し出す。これが福ちゃんと仲直りする条件、父の遺言、私のけじめだ。
この状況に島田は、お互い意地っ張りなところがあるからなと思った。
洋介は、幻のセル画をついに手に入れ。そのことを知った島田主任は、洋介に内緒で福山総理と連絡をとり、本日午前9時40分ごろに墓参りに行くように言っていた、何も言わずに。
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