父の遺言(3)

 洋介たちは、自宅に帰る車内で、サクラの父親は勝手な真似をして申し訳なかったと洋介に謝り。このあとことは、私に任せてくれと言い出し。聞きたいことが山ほどあると言っていた。

 確かに、洋介と福山総理の関係、いったい10年前に何があったのか。大ちゃんとは、おそらく洋介の父親、大泉大介のこと。このあと、サクラの父親は遠慮なしに10年前の過去を聞き出す、まるで王の権限のように。


 洋介たちは自宅に着くと。福山総理を乗せた車は、洋介の店の搬入口に車を停め。SPたちは、車内で待機させ。このことはサクラが島田主任に連絡をし。サクラの母親は昼食の準備のためキッチンに行き。4人は、洋介の書斎へ行き。福山総理に何も言わず、いきなり魔法空間のあの場所に移動した。


 福山総理は、校の体育館前の桜の木の下に立ち、驚いている様子だが、ちゃんと靴も履いていることに気づき。

 瞬間移動したのか、いや、違う、ここはあまりにも静かすぎる、それに平日なのに生徒たちもいない、私たち以外に人は誰もいない、これはドッキリなのか、それはありえない。それに、なぜ母校なんだ。桜の木の下のベンチに前で割と冷静に辺りを見渡し、分析していると。

 サクラの父親は、福山総理の前に立ち、ベンチに座っていただくように言い。いきなり洋介とサクラに浮遊魔法を披露させ、魔法の存在を知らしめることで、このあと話すことはすべて事実だという印象を与え。そして、ここに福山総理を招いた訳を話し始めると。


 福山総理は、魔法に目を輝かせ、大好きなあの魔法の映画を思い出し、まるで子供のようにワクワク感の中、サクラの父親の話を食い入るように聞いた。そして、洋介のことを信じ。この人たちのことも信じることにした。


 洋ちゃんが魔法を使えること、サクラさんの父親がただ者ではないこと、その訳はわかった。しかし、驚いたな、魔法が本当に存在したとは。それに思い出した、洋ちゃんが高校生の時、もしあの魔法の映画のように、魔法が現実に存在したらどうするか聞かれたことがあったな。確か、私はあの時、魔法は脅威でしかないから、魔法は封印すると言ったような。

 ただ、洋ちゃんは違った。私は、魔法も科学も同じだと思います。ただ、使い方さえ間違わなければいいだけとこと。それさえ見失わなければ、魔法も科学も人を幸せにできると思います。

 そんなことを聞かされたら、なんか、やられたなと思ったな。そのあと、ここで働きながら鑑定士を目指すのも悪くないと思った。しかし、結局、親父の遺言通りになったけどな。そんなことより、魔法を広めると言っていたが、それがどういうことなのか、洋ちゃんはわかっているのか。確かに、この世界の存亡に関わる話でもあるけど。とにかく洋ちゃんの考えを聞かないと。そう思っていると。

 サクラの父親が、福山総理と洋介君の関係を聞きたいと言ってきた。ここは王の言う通り、私たちの関係を先に話すべきだと思い。

「洋ちゃん、話してもいいのか?」

「私は大丈夫。このことは話す予定だったから、それに、父の遺言も果たしたし」

「遺言!? わかった」

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