父の遺言
父の遺言(1)
翌朝、洋介の店の店内では、従業員たちが夏のボーナスは相当期待できると浮かれ。朝礼の場でその喜びを口にし、これもひとえにサクラさんがうちに来たくれたおかげだと従業員たちはサクラに感謝している。
この光景に洋介は何も言わない。いつもなら、おいおいそれは違うだろう、私の日頃の行いの結果だろう。それに、そんなことばり言ってると、夢とロマンが消えるだろう。と言うはずなのに。
従業員たちは、何も言い返さない洋介の態度に、ちょっと調子が狂うなと思い。そういえば、魔法の練習を始めてから夢とロマンを語らなくなったような気もする。
島田主任は、洋介の1番のよき理解者というか、洋介のことをよく知っている。鑑定士とは、夢とロマンがなきゃダメでと口癖のように洋介は言う、洋介の父親もそうだった。
しかし、魔法には夢とロマンはない。そこにあるのは、無限の可能性を秘めている夢の道具。そして、魔法のある現実しかない。その現実を目の当たりにし、心に余裕がないのか。でも、何か楽しんでいるようにも見える。魔法を極めたい、その想いに集中しているようにも見え、誰にも負けない鑑定士のように。おそらくそんなところだろうと、島田主任は、あえて洋介に何も言わず。みんなに、夏のボーナスのために頑張るぞ、と言いっていた。
この時、サクラは洋介のことなど眼中になく。改めるかのように、両親のことをよろしくお願いしますと従業員たちに言い。従業員たちは、他国対応魔法のおかげでサクラの両親のことは理解していた。
午前10時より、洋介とサクラは、魔法空間で魔法の練習を再開する。1級魔法士、特級魔法士、特A魔法士とランクが上がるとおのずと魔法の難易度も上がる。
洋介は、元々鑑定士になるつもりはなかった。高2の時、父親の働く姿を見ていると、ふと一つのことを極めるのも悪くないと思い。夢とは何か、ロマンとは何か、鑑定士を極めたくなった。
魔法は現実に存在する、その時点で夢物語は消える。魔法は夢の道具なのか、道具という言い方はどうなのか。青の宝石は道具ではない、ちゃんと自分の意思を持っている。
魔法は、人を守り、人を幸せ導くもの。決して争いの道具になってはならない、魔法は人間を堕落させるものでもない、確かに難しい問題だ。綺麗ごとだと言う奴もいるだろう。しかし、綺麗ごとが言えなくなくなったらこの世は悲しい世界だ。
魔法は面白い。鑑定士のように、魔法も奥深い、魔法極めてみたい。洋介は決意を新たにするかのように魔法の練習を始めた。
洋介とサクラは、いつのまにか魔法使いとして、いいライバル関係になっていく、洋介の両親のように。
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