突然すぎる再会(10)

 サクラの両親は、いたく日本人の様相を気に入り、このまま日本人でもいいと言う。冗談なのか、本気なのか、その光景にサクラも同感していると、急にお腹が鳴り、晩御飯にすることに。

「洋ちゃん、ご飯にしよう!?」

「……」

「どうかしたの? オムライスだよ……!?」


 このままいくと、青の魔法石のまだわからぬ思惑にはまってしまうと思った洋介は、困惑から抜け出せない。しかし、オムライスと聞き、青の魔法石の思惑がどうであれ、まず自分がどうしたいのか、それさえはっきしていれば何も恐れることはない、と自分に言い聞かせ。晩御飯の前に、サクラの両親は仏壇に線香あげ、サクラも2回目の線香をあげると、4人はリビングに行った。


 サクラは晩御飯の準備を始め、サクラの両親はテーブルに着き、サクラの料理姿をジッと見ている。魔法界では、こんな光景はありえない。この時、浮遊魔法を使わずに調理している。


 洋介もテーブル着くと、この2人に何か話したかけた方がいいのかと思い。別に気まずいという訳ではないが、何か懐かしい気分になるのはなぜなのか、と思っていると。サクラの父親から思ってみないことを聞いた。


 10日後、洋介の両親が亡くなってちょうど10年が経つ。洋介は毎年、両親の命日に墓参りに行っていた。その墓参りに、サクラとサクラの両親も同行し。そのあと洋介の案内で東京観光したいと言い。そして、家のことは妻に任せ、2人には魔法階級を上げることに専念して欲しいと言う。

 洋介として、確かにありがたい。しかし、これじゃ本物家族のようで。サクラの父親は、店の手伝いをすると言うし。確かに、骨董にはかなり詳しい。これも他国対応魔法のせいなのか、考えてみも仕方ないと思った洋介は、結婚はともかく、青の魔法石の思惑とやらに乗っかるだけ乗っかってみようかと思っていた。


 15分後、洋介の大好物のオムライスがテーブルの上に並び、サクラの母親が首をかしげている。洋介のだけ、オムライスが違う。

 3人のオムライスは、ふわふわ系のオムライスにトマトケチャップがかけられ。洋介のオムライスは、昔ながらの薄焼き卵のオムライスにトマトケチャップがかかっていない。ただ、妙な物がオムライスの皿の隣に置いてある。

 洋介のオムライスは、トマトケチャップ少し大目のケチャップライスに具は玉ねぎと鶏肉のみだが、オムライスに醤油を少しかけるのが定番。卵焼き、目玉焼きには醤油はかかせない。


 4人はオムライス美味しくいただき、サクラと洋介は後片付けをしていると。サクラの両親はテレビの前のソファーに座り、あの魔法映画のDVDを見て、確か魔法界の風景に似っていると言い。確かに面白い魔法映画だが、現実に攻撃魔法があったら洒落にならないとも言っていた。


 洋介の環境がまた変わり、不安がないと言えばウソになるが、とにかく早く特A魔法士になって魔法界の住人たちを救い出すことが。たまに思う、私はいったいどこに向かっているのか。鑑定士を極めたいのか、魔法使いとして魔法を極めたいのか、それとも二刀流を目指すのか。この時、サクラは魔法と科学の融合の世界を夢見ていた。2人は、明日から1級魔法士になる練習が始まる。


 サクラたち家族がこの世界に来て一番驚いたのは、なんといってもスマホだった。

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