突然すぎる再会(9)
あの時、青空が一変し、突如ブラックホールが出現し、地上のあらゆるものがブラックホールに吸い込まれていく。この光景をなすすべがなく、お城の部屋から王と王妃も呆然と見ていた。
王妃も魔法使いだが高いところが苦手で、魔法の箒は持っていない。王と王妃はお城の2階の部屋に住み。ちょうど真上の3階にはサクラが住んでいた。この条件がこの2人を救っていた。
王と王妃は、他国対応魔法によって日本人になり、年齢は変わらず共に46歳。この2人が現れたことによって、サクラがここにいる設定が変わり。簡単に言えば、洋介とサクラの父親は骨董を通じて知り合い、家族ぐるみのつき合いだった。といっても洋介は独り身だが洋介の店の従業員とも仲がいい。そんな中、サクラの父親が経営する会社が倒産し、住む家もなくなり、洋介の家に転がり込んだ。
洋介は、サクラたちを快く受け入れ。サクラたちの住む家が決まるまでの間、1階の2部屋をサクラとサクラの両親が使うことになり。サクラの父親は、洋介の人柄や鑑定士の腕を見込んでとても気に入っている。年などは関係ない、サクラの結婚相手にいいのではと考えている。
ということは、この設定でいけば、洋介の1人暮らし、サクラが現れる以前の生活には戻れない。洋介の想いは、青の魔法石には届かなかったということになる。
しかし、サクラ側の設定によると、この社会に何か貢献したい、自分が夢中になれるものを探している、結婚なんて眼中にない。これは、青の魔法石の思惑なのか。それとも、サクラの意思が勝っているのか。
サクラは魔法界では、23歳ということもあって、そろそろ親の決めた相手と結婚し、次期王となるお方を支えていく、そう思っていた。しかし、洋介たちの世界のことを知り、魔法は使えて当たり前の世界だった、夢中になるもとは違う。洋介のように夢中になるものを探してみたいと思うようになり。科学と魔法を融合させ、この社会に何か貢献したいと思い。もしかしたら、これが夢中になれるもの。そう思っていたら、洋介の発想力には叶わないと思い。魔法でも叶わないと思い。これが負けということなのか、魔法界では味わったことのない、初めて敗北を悟った。しかし、洋介に負けたくない、夢中になるものを失いたくはないと思っている。
そんなサクラ気持ちなど、洋介は知らない。ただ、確実にわかっていることがある。それは、ここでサクラとサクラの両親と一緒に暮らすということだけ。そして、サクラの父親が妙なことを言い始めた。
青の魔法石から、いろいろと話を聞きました。洋介君には感謝しています、感謝しかない。さすがこの世界の魔法使いの王になる人物、私の娘にふさわしい人物、私はそう思っています。それに、魔法界の住人たちを助けようとしている。そして、魔法界とは違う新たな魔法の世界を築こうとしている。その素晴らしい発想力に私は感動しています。洋介君、これからもどうかよろしく頼みます。そう言いながら、サクラの両親は深々と頭を下げた。
洋介は、この状況に困惑していると。隣では、サクラが父親に向かって、私、結婚は考えていませんからねと言う。それを聞いた洋介は、ちょっとだけ困惑から解放されたが。青の魔法石からいろいろと何を聞いたのか。魔法使いの王とはどういうことなか、そんなことには興味がない。
サクラといい、その両親といい、おそらく感覚的には、あんな辛い想いをしたのはついさっきの出来事のはず、それなのにそんなそぶりは一切見せない、生まれた世界がなくなっているのに。よほど洋介のことを信頼しているのか。それとも青の魔法石が守ってくれると信じているのか。
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