突然すぎる再会(8)

 サクラは、洋介の自宅のスペアキーを一応持っているが、洋介はいつものように玄関の鍵を開け。2人は書斎へ行き、ドアの前に立ち。

「サクラちゃん、ドアを開けて見てよ!?」

 言われるがままサクラはドアを開けると、電気が点き、テーブルの上に置いてある木箱に気づき、金色の鍵穴が光り、その光景に呆然と立ち尽くしている。

「……洋ちゃん、どういうこと? なんでお父さんの木箱がここに?」

「驚いた……?」

 サクラは後ろを振り向き。こんなサプライズじゃない、ふざけないでよねと、無言の訴える目が物語っている。

 洋介はしまったと思い。なれないサプライズが裏目に出てしまい、いや、そういう問題ではない深々と頭下げ謝り、なぜ王の木箱がここにあるのか経緯を話し。サクラに鍵穴の紋章に触ってみてよと言う。ということは、そういうことなのかとサクラは思い、焦る気持ちを抑え触ってみると、木箱の鍵は開かない。

 やはり洋介じゃないと開かないのか。しかし、洋介が鍵穴の紋章に触ってみても、木箱の鍵は開かない。困惑する2人はソファーに座り込んでいると。突然風花が洋介の隣に現れ。

「2人同時に紋章に触ってみたら?」

 この助言に2人は、思わず息があったかのように声が重なり。

「2人同時に……!?」

 この状況を洋介は、冷静に分析しようとするが、何かの沼に足を踏み入れたような気分になり。サクラは、素直にそれを受け入れ。

「洋ちゃん、2人同時だからね、大丈夫?」

「大丈夫って聞かれても、で、かけ声はどうする?」

「かけ声!? 1、2、3、はい、でいんじゃいの?」

「……」

「ダメなの?」

「ダメじゃないけど」

「じゃいいのね? 始めるわよ……1、2、3、はい!」


 2人は、なんの緊張感もない様子で、息がピタリと合い、右手の人差し指を出し、鍵穴の紋章に触った。

 すると、「カチャ」と鍵が開く音がし、楽器をしまう箱のように蓋がゆっくりと開き、2人の目に映ったものは、魔法の箒。洋介の右手には、あの時のようにいつのまにか魔法の杖を握りしめ。そして、2人の目の前には、王と王妃が立っている。魔法界から脱失できたのは、サクラとリリカ、青の魔法石だけではなかった。

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