突然すぎる再会(4)

 トラックを走らせ、窓を少し開けると、春の匂いがする。今度はどんなお宝と巡り合えるのか楽しみな2人。サクラは、仕事ではなくドライブを楽しんでいる。こんな光景は、魔法界にはない。車内では、カーラジオから懐かしい曲がかかっていた。


 3人を乗せたトラックは、もうじき予定通りの時刻に目的地に着く。辺りの景色を見ていると、わりと田舎っぽいところを走っていると。カーナビが目的地の到着を知らせようとした時、進行方向の前方に男性が道路脇に立ち、島田主任が運転するトラックに向けて手を振り。どうやら今回の依頼主と思われるご年配の男性は、今か今かと洋介たちを待ち、駐車場へ誘導している。なんかこの光景以前も見たような。

 わりと広い駐車場にトラックは駐車し、3人はトラックから降り、辺りを見渡すと。広い庭に、ここにも満開の桜の木が見える。


 2人は、依頼主と軽く挨拶をすませると、依頼主は急ぐように自宅の古民家に3人を案内すると。襖で仕切った畳続きの18畳の部屋の襖を外し、畳の上には、ざっと100点くらいの骨董品が等間隔にきちんと並んでいる。

 すると、ある屏風が目に入り洋介より早く島田主任が動き、屏風を広げ、鳥肌が立ち、呆然としながらも。なんでこんな物がここにあるのか、信じられない。まぎれもない国宝級の幻の金屏風だ。マスク越しにその声が漏れていた。

 洋介も島田主任の隣で鑑定を始め、水墨画を隅々とチェックし、落款も間違いなく本物、滅多にお目にかかれない掘り出し物が出た。その査定額は2000万円。洋介の知り合いにこいつを探している人物がいる。2年前、もしも幻の金屏風が見つかったら3000万で買い取ると言っていた。

 洋介は、依頼主に2000万円の価値がある物を本当に売却する気があるのか。この先、値段が上がる可能性は十分ある。そのことを確認すると。その額に依頼主は呆然としていたが、二つ返事で売却すると言い。孫たちと暮らす方が大事だと言っていた。このあと、査定総額2500万円となり、依頼主は大喜び。サクラは、なんとなく洋介が言うロマンとか夢とかほんの少しわかった気がした。


 島田主任は、期待していた絵画との出会いはなかった。しかし、幻の金屏風と出会い、思わずスマホで写真を撮っていた。


 主張買取り場合は、8日のクーリングオフ制度が適応される。洋介はそのことを説明し、依頼主は、運転免許証を提示し、指定用紙に記入し。洋介は記入内容を確認すると、2500万円の支払いは、9日後に口座振り込みとなり。洋介は、すっかり忘れていた。島田主任の目の前で浮遊魔法を使い、番号札の割り振りと写真を撮り、タブレットPC入力をする予定だった。

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