突然すぎる再会(3)

 翌朝、洋介が店長になって2回目の蔵まるごと査定の日。今度はどんなお宝に巡り会えるのか。ワクワクしているが、別な意味のワクワクもしている。


 今回の出張買取りの依頼主の自宅は、前回の依頼主の自宅から1キロほど離れた場所にある。

 依頼主は、骨董品にまるで興味がなく。亡き父が残した骨董品をすべて処分し、そのお金で古民家をリフォームし、息子夫婦と孫たちと暮らしたい。そのことを息子夫婦に相談すると、古民家をリフォームするなら暮らしてもいいと言うが、そんなお宝があればの話だと言う。確かに、そうだけどな、と依頼主も思っていた。


 今回の支払いは、急ぎではないので後日ということになっている。

 

 午前8時10分。大泉リサイクルショップの裏手の搬入口では、洋介とサクラと島田主任が2トントラックに乗り込み。運転する島田主任は、カーナビを確認していると。助手席に座る洋介は、ワクワクしている、なんか子供のように。

「お弁当よーし! 天気よーし! 安全確認よーし! それじゃ、行きますか!?」

 島田主任は、どんな絵画に巡り巡り会えるのか、ワクワクしている。

「朝からテンション高いですね!? 連ちゃんの蔵まるごと査定ですもんね。査定総額0円だったらどうします?」

「光ちゃん、またそれ!? 夢が飛んで逃げちゃうからやめてくれる!?」


 そんな中、窓際の座席に座るサクラにとっては実際、初めて車に乗り、ちょっと緊張している様子。確かに、他国対応魔法で車に乗った記憶経験はある、普通自動車免許も持っている。

「サクラちゃん、緊張してるの? 大丈夫?」

「大丈夫」

「手、握っててあげようか?」

「はぁ!? 店長、セクハラで訴えますよ!? そうですよね、主任!?」

「店長、そろそろ夢の世界へ行きますか!?」

「光ちゃん、どうした? とうとう目覚めたのか? そうだな、夢の世界へ行きますか!?」


 サクラは、おいてけぼり状態にされ、なんなのこの2人はと思っていると。トラックは、神奈川県の出張買取りの依頼主の自宅へ向かった。

 トラックを走らせ、10分くらい経ち。サクラは、車窓からのビル群を眺めていると。ふと魔法の箒より遥かに車の方が安定して、天候も気にせずどこへでも行ける。問題は燃料ね。ガソリンより電気の時代だからね、二酸化炭素を減らさないと。それには電気だよね、電気の安定供給か。安定供給、安定。ちょっと待って、そもそも魔法って、どのくらいの安定性があるの。魔法かけたら、魔法を解くまでの安定性はどのくらいなのか。永久的、いや、それはないか、半永久的ならありえるか。やはり鍵を握るのは、青の魔法石の魔法エネルギーが半永久的でないとありえない、何か確かめる方法はないのか。そんな疑問を洋介に聴いてみた。

 すると、その方法をすでに考えていると言う。そして、近未来的な魔法の技やいろいろな魔法の技を考え、魔法と電気の融合も考えている。問題は、青の魔法石の魔法エネルギーがそれを可能にできるのか、いろいろと試してみないとわからない。とりあえずたたき台を作り、みんなの意見を聞き、今の魔法の技も見直す必要がある。魔法と科学の融合については、サクラを責任者として考えている。

 

 私が責任者。サクラは困惑しているが、やはりこの人は凄い人なのかもしれない。魔法使いを職業と考えている。洋ちゃんって、本当は魔法使いなのか。魔法の未来をちゃんと考えている。

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