突然すぎる再会

突然すぎる再会(1)

 サクラたちは、魔法空間から現実の世界へと戻ると。洋介は、書斎のソファーに座り、サクラの試験結果を待っていた。サクラは、肩を落とし、暗い表情で洋介の隣に座り溜息を1つ。

「洋ちゃん……」

「サクラちゃん、そういうの、やめてくれる!? バレバレだよ!?」

「なーんだ、面白くないの!? はい、これ、魔法免許証」


 魔法免許証とは、マイナンバーカードと同じサイズで、運転免許証に似ている。資格の枠に2級の文字が刻まれていた。この魔法免許証は、洋介のアイディアによるもの。

 洋介は、現物の魔法免許証手にし、気合を入れ、何十年ぶりに試験をする。小中校と成績優秀だったが、体育と音楽は普通以下、ゲーム感覚もない。果たして、40歳デビューとなるか。


 洋介の2級魔法士試験が始まった。しかし、洋介は1時間経っても戻ってこない。

 サクラは、書斎のソファーに座り。洋ちゃんの腕なら大丈夫のはず、なんでこんなに時間がかかるの、試験中はリリカを呼び出すことはできない。そう思いながら洋介のことを心配している。一応、お弁当は渡してあるが。


 あれから3時間が経ち、やっと洋介たちは、魔法空間から現実の世界へと戻り。サクラは、洋介に何かあったのか心配していた。しかし、洋介に何もなかった様子だが、肩を落とし、暗い表情でサクラの隣に座り溜息を1つ。

「サクラちゃん……」

「ダメだったの!? なんで!? あれだけうまくなったじゃないの!?」

「はい、これ、魔法免許証」

「はぁ!? 私を騙したのね!?」

「はぁ!? なんで私がサクラちゃんを騙さないとならないんだ!?」


 このあと、4時間の意味を知り。サクラは、この人には叶わないと思った。


 洋介の2級魔法士試験内容は、サクラと同じ内容。洋介は、3つの試験を余裕で合格したが、サクラのタイムとその試験方法を聴き。サクラと同じ条件でもう一度試験に挑みたいと言い出し、サクラのタイムを超えてみせると言う。4時間かけ、大差をつけて洋介がサクラのタイムを全て上回った。


 今まで洋介は誰かと競うことはなかった。鑑定士として父親を超えたいとも思ったこともない。ただ、どういう訳か鑑定士として誰にも負けたくない気持ちは持っている。その気持ちがそうさせたのか。


 その時、サクラのスマホが鳴り、洋介のことを心配しての島田主任からの電話だった。サクラは、4時間の事情を話すと、電話を洋介と代わった。

 すると、洋介は突然立ち上がり、電話越しにもの凄く喜んでいる。数日前、出張買取り客が洋介のことをいたく気に入り、そのことを親友に話したら、うちもお願いしたいと、蔵まるごと査定の依頼が入った。よって、明後日からの1級魔法士の練習は中止となった。

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