洋介とサクラ、特A魔法士を目指す(5)

 3日後、洋介とサクラの2級魔法士試験が始まり。洋介は、サクラの試験が終わるまで自宅で待機し。サクラは、魔法空間の体育館の舞台の上に立ち。その足元では、試験官のリリカが真剣な表情で、第1次試験を発表した。


 第1次試験は、魔法スチレンピック。

 スチレンピックとは、発泡スチロール箱を高く積み上げる競技で、これを魔法でやる。

 第1次試験で使用する発泡スチロール箱は、鮮魚輸送用で使用する「トロ箱」。幅35センチ、奥行き55センチ、高さ14センチ、重は130グラム。10個束ねたものを1梱包とし、40段積み上げ、高さ約14メートルになる。


 初めに、10段を10メートル先の10段の上に積み、20段となり。その20段を次の10メートル先の10段の上に積み、30段となり。更に、その30段を10メートル先の10段の上に積み。その40段を10メートル先の台の上に乗せて完成。これを1分30秒以内で行う。繊細なバランスと重量感覚が問われる。不合格の場合は、できるまでやらされる。


 実際、魔法大学が設立されれば、不合格の場合は、1時間以内にできるまでやらされる。もし1時間を超えるとギブアップとみなされ、1ヶ月間の間は、2級魔法士試験は受けられない。


 第1次試験の内容を聞いたサクラは、全く緊張はなく、舞台から降り。第1次試験のステージを確認すると、ステージに背負向け、この体制で試験に臨むと言い出し。リリカは、さすが王女だと思い、第1次試験を開始した。


 サクラの右手には銀の魔法杖、浮遊魔法の呪文を唱えると。まるで魔法に目がついているかのようにトロ箱を積み上げて行き、一度も落とさずに40秒でゴールした。


 これぐらいできて当たり前と思いながらリリカは、第2次試験を発表した。


 第2次試験は、屋外バレーボール輪くぐり。

 屋外バレーボール輪くぐりとは、空中に浮いた20本の大小さまざまな輪にバレーボールをくぐらせることを言う。これを15秒以内で行う。例えるなら、ドローンの技競で行う輪くぐりのような感じ。


 バレーボールのスピードは、時速100キロ以上になる。不合格の場合は、できるまでやらされる。

 サクラの右手には銀の魔法杖を持ち、グラウンドに行くと。第2次試験のステージを確認すると、またしてもステージに背負向け。リリカは、第2次試験を開始した。


 サクラは、浮遊魔法の呪文を唱え。風を感じながら空中に浮いた大小さまざまな輪を猛スピードでバレーボールがくぐっていく。その時、風が強く吹き、バレーボールの制御がうまくいかず、タイムロスになり、ギリギリ14秒でゴールした。


 王女として、これぐらいできて当たり前と思いながらリリカは、第3次試験を発表した。


 浮遊魔法は、頭の中でイメージして実際に動かしたりできる。上級者になると魔法を通して感覚的に見えるようになる。


 第3次試験は、ルービックキューブ。

 バラバラになった色のルービックキューブを浮遊魔法で6面揃えれる。しかし、サクラはルービックキューブをしたことがない。そこで、10分間でやり方を覚え。

 バラバラになった色を6面揃えれる方法を図にし、それを見ながら揃えていく。それか、手数50手を暗記して揃えてもよい。但し、1分以内で6面揃えれること。


 サクラは、再び体育館に戻り。リリカは、第2次試験を開始した。


 サクラの目の前のテーブルには、ルービックキューブが1個。バラバラになった色を6面揃えれる。サクラは、王女の意地なのか、目を瞑り、浮遊魔法の呪文を唱えると、わずか3秒で6面揃えた。


 リリカは、暗記の得意な王女ならこれぐらいできて当たり前と思いながら全て試験が終わった。

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