魔法のあるべき姿(4)

 島田主任は、何を思ったのか、従業員たちをリビングテーブルに集め、リビングの端の方では、洋介とサクラが何やらいい雰囲気で話をしている。


「サクラちゃん、青の魔法石のことどう思う?」

「どうって?」

「何か企んでいるような気がするのよねー、もてあそばれているとか?」

「洋ちゃんを? ありえるかもね、洋ちゃんってほら、からかい甲斐があるっていうか、そんなところがあるよね」

「やっぱり、別にいいけど、よくない、よくない、青の魔法石だけにはからかわれたくないなー、魔法で実体化できないかな? 一度話をしてみたい、でも、青の魔法石って、男性なのか、女性なのか、どっちだ?」

「確かに、意思は持っていると思うけど、もしかしたら女性かな!?」

「……女性か!? そうかもね……」

 2人して、春のそよ風が吹く窓の外を見ていた。


 一方、島田主任は、その光景を見ていると、お似合い2人なんだけどな、と思っていると。

 ふと従業員の1人が、もし魔法を世に広めようとするとしたら、魔法界のことを隠す訳にはいかない。すべてを話し魔法を受け入れてもらえる努力をする、俺らは受け入れたけど。

 ということは、サクラさんは他国対応魔法を解くことになるのか。元はイギリス人、いや、一応王女だよな。ということは、店長が王様になるのか、ありえない、想像できない。

 この発言に従業員たちは、店長が王様になる、ありえない、想像できないと、その話で盛り上がっている。

 そんな中、島田主任は、他国対応魔法を解いたらどうなるのか、そのことを考えていた。

 当然、サクラさんは元の姿に戻り、たぶんここで過ごした記憶は消え、魔法界にいた時の状態に戻るはず。ちょっと待てよ、私たちがいくら騒いでも2人の気持ちはどうなんだ。肝心なことを考えていなかった。でも、なんで気になるんだろうあの2人のこと。すべては、他国対応魔法のせいなのか。


 この光景をソファーに座り、人間って面白い生き物だよねと、風花とリリカは話していると。リリカは、ふと肝心な魔法の練習をする場所がないことに気づき、場所の確保をどうすればいいのか、風花と話していると。理想としては、学校が一番いい。学校には、体育館とグラウンドがある。近くに廃校であれば、そんな都合のいい廃校はない、あっても借りるのは無理、何て言って借りればいい、料金はいくらかかる。そんなことを考えていると、突然青の魔法石が2人に話しかけてきた。その内容に驚く2人だが、願ってもないこと。

 どうやら、空間魔法の1つ、現実と似た別空間をつくりだす魔法を今回だけ特別にリリカに授けると言う。但し、使用できる期間は3ヶ月間。普段使い魔は、魔法は使えない。そして、この魔法は魔法界に存在しない魔法。これで、魔法の練習場所が確保できる。そのことを洋介とサクラに話した。

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