お花見に行く(2)

 翌朝、いつもの時間に洋介はベッドから起きると、少し肌寒いがよく眠れたような思いで机の上を見ると、魔法教科書が置いてある。窓の外を見ると、絶好のお花見日和。


 洋介は、着替えをすませ、リビングに行くと、いつものようにサクラが朝食の準備をしている。

「サクラちゃん、おはよう、いつもありがとね」

「おはよう、ごはんもうすぐできるから座ってまってて」

「はーい」


 洋介は、テーブルに着き。なんなだこの和やかな雰囲気は、これではまるで新婚生活じゃないの、恐るべし他国対応魔法と思っていると。サクラもテーブルに着き、いつものように朝食をすませ。洋介は、食べたあとの食器をかたづけ、皿を洗っている。

 サクラは、黙々とちらし寿司作りを始め、従業員たちのお弁当まで作る。この光景に洋介は、本当にこの子が王女様なのか疑問になる。

 皿を洗い終わった洋介は、ここにいても邪魔になるだけなので、自分の部屋に行き。机に向かいノートパソコンを立ち上げ、ある計画を立てようと、風花を呼んだ。

「風ちゃん、ちょっといいかな? 相談があるんだけど」

 風花は、洋介のベッド上に現れ。洋介は、相談の内容を風花に話すと。なぜ青の魔法石がこの人を選んだのか、今更だがよくわかる。魔法に対する想いや発想がズバ抜けて凄いこと。ただ、この人はやはり優しすぎるところがある。これが裏目にでなければいいのだけど。

「洋ちゃん、あなたは魔法の責任者なんだから、あなたが決めないと、相談には乗るけど……」

「責任者!? 私が!? そうなるのか、そうだよね、わかった。でも、みんなの意見も聞かないと」

「私は、あなたに従うだけ。ただ、助言はしますけど」

「わかった、ありがとね」

 風花は、自分の部屋に戻り。洋介は、パソコンに向かい、ある計画を実行するために計画表を作成していた。


 午前10時40分を過ぎ、洋介はリビングに行くと。あと30分くらいでサクラ特製のお花見弁当が完成する。

 洋介は、一足先に公園に行き場所取りをしないとならないので、お弁当持ちは島田主任たちに任してある。


 ここから公園まで歩いて10分、洋介はレジャーシートを持って家を出ると。この雰囲気、この匂い、心地よい優しい風が吹き、春だなと思いながら歩き、公園に着き。やはり平日ということもあって辺りを見渡すと、場所取りは1番乗り。桜の本数は少ないが、穴場的な感じで、満開の桜のいい匂いがする。


 洋介は、レジャーシートを敷き、風花とリリカを呼び出し。レジャーシートの上に現れた2人は、桜のいい匂いと心地よい風に吹かれ、初めてのお花見にまったりとしている。

 風花とリリカの姿は、魔法使いにしか見えない。但し、2人の意思で魔法使い以外にも見えるようにできる。


 洋介は、昨夜の出来事を従業員たちに話す予定だが、さすがにここではできないので、お花見が終わったあとに自宅で話すことになっている。そのことを1時間前にLINEで、「私の自宅で重大な話があるから、申し訳ないが午後の予定はなしにしてくれなか?」と書き。従業員たちは、その文面を勘違いし、あのことだと思い。「喜んでいきます」と返信し。洋介は、「喜んでいきます」とは、どういう意味だと思っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る