木箱の正体
木箱の正体(1)
午前7時30分、洋介が自宅に帰ると。無造作に玄関の上がり口に置いてある謎の木箱。まるでブラックホールのように吸い込まれそうになる、感じもするような、しないような。そんなことを思いながら、洋介は木箱を1階の書斎へと運んだ。
すると、お腹が鳴り、今日は久しぶりに働いたなという感覚でリビングのソファーに座り。自宅の近くで買ったコンビニのお弁当を手に、テレビを見ながら5分で食べ。後片付けをし、歯を磨き、急ぐように書斎へと行った。
この書斎は、かつて父親が使っていた部屋。机や椅子は年季がはいり貫禄すら見え、本棚には鑑定士に必要な本がずらりと並び、いつも見慣れた光景。
書斎の机の前には、ローテーブルとソファーが置いてあり、よくここで父親はソファーに座り、テーブル上に骨董品を並べて眺めていた。
洋介はソファーに座り、テーブルの上には謎の木箱が置かれ、査定が始まった。
この木箱は、言い方が変だが、確かに木でできている、間違いなく木箱。なのに、ノコギリやチェーンソーがまった歯が立たない。あの依頼主がウソを言っているようには見えなかった。そうなると、まるで何かの力で守られているのか、そんな感じもする。黒は黒でも輝くような、綺麗な黒をしている木箱。美しいようにも見え、不思議な感じ。
しかし、この木箱の正面、いわゆる鍵穴があるが。おそらくこれは、何か紋章のようにも思える、海外の紋章なのか。なんかの映画に、そう魔法映画でてくるような感じ。
魔法ね、魔法か、いいよね。箒で空も飛べるし、瞬間移動もできる。変身魔法もあるけど、攻撃魔法はいらないな、私には必要ない、身を守る魔法ならいるかな。そんな独り言がだだ漏れしながら、右手が鍵穴の紋章に触れた。
すると、「カチャ」と鍵が開いたような音がし、楽器をしまう箱のように蓋がゆっくりと開き、ちょっと驚く洋介の目に映ったものは、箒のようなもの。
これって、よく見ると映画で見た魔法の箒にも似ている。そう思いながら洋介は、右手で箒を掴み持ちあげると、突然女性の声が聞こえた。
「それ、私の箒、触んないでよね!」
洋介は、女性の声に驚き、思わず箒を手から離し。洋介の目の前には、洋介の知らない20歳くらいの女性が突如現れ、女性の足もとには黒猫がいる。女性は洋介を睨みつけ。
「ちょっと、あなたねー、私の箒、乱暴に扱わないでよねー。それに、私になんの魔法をかけたの?」
洋介は、呆然と立ち尽くし。こんな状況にも関わらず洋介は持ち前の観察力で、1つの答えを導き出した。
「もしかして、あなたは魔法使いですか?」
「そうですけど、違う違う、そういうことじゃなくて、私の質問は無視ですか?」
「私は、魔法使いではない」
「はぁ!? 私をバカにしないるの!? じゃ、その手に持っているのは何?」
洋介の手には、いつのまにか魔法の杖を握りしめ。
すると、突然魔法の杖が光り出し、黄金に輝く魔法の杖に変化し。テーブルに置いていた木箱は消え、別な物がテーブルの上に現れ。そして、ソファーの上には、三毛猫の使い魔が現れ。その光景に呆然と立ち尽くす2人。
この時、黒猫の使い魔だけはすべての謎が解け、それを受け入れ、消化するしかない現実と向き合い。いつまでもこのカオス状態のままという訳にはいかない。一番辛い想いをするのはリリー王女だけど、すべてを2人に話すしかない。
黒猫の使い魔は、呆然と立ち尽くす2人に声をかけ、ソファーに座るように言い。洋介は、テーブルの上に置いてある物が気になり。この状況から考えて、もしかしたらあれは、ワクワクしていた。
2人は、黒猫の使い魔に言われるがままソファーに座り。三毛猫の使い魔は、あくびを1つ。
黒猫の使い魔は、ちょっとお行儀が悪いが、テーブルの上に乗り2人を見上げ、このカオス状態について話し始めた。
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